最新制度解説

速報(JS-Weekly)

〈日本慢性期医療協会〉

令和4年度の人材紹介手数料の実態調査結果を公表 定額制・上限設定の適用を提言

JS-Weekly No.908

#人材紹介手数料

1施設当たりの紹介手数料、年812万円。職種別では医師の約217万円が最高額

 日本慢性期医療協会(会長:橋本康子氏)は12月14日の会見において、令和4年度の人材紹介手数料の実態調査結果を公表した。紹介手数料を広く把握するための調査は今回が初めて。今年11月に調査を実施し、調査対象である会員病院と併設の介護保険施設(計1109施設)の回答を集計した(回答数350、回答率は31.6%)。

 紹介会社経由で人材確保を行っていた施設は271施設(77.4%)で、手数料は「100万〜500万円未満」が35.4%で最多。「50万円未満」(3.3%)から「3000万円以上」(3.3%)まで幅広く分布していたことが分かった。

 また、職種別の利用率、紹介手数料(1人当たり平均)を見ると、医療職では、医師(31.0%、約217万円)、薬剤師(32.3%、約127万円)、看護師(37.4%、約81万円)など。福祉職では、ケアマネジャー(44.0%、約76万円)、介護福祉士(28.9%、約73万円)などとなっている。

 一方、医療職でも理学療法士(8.8%、約94万円)、作業療法士(8.6%、約87万円)は利用率が低く、主に紹介会社以外の方法で人材を確保していた。

 橋本会長は、会員施設から「紹介手数料に国として規制を設けることも必要」「紹介手数料がなければ、職員の賃上げや設備投資に回せる」といった声が上がっている。1施設当たりの紹介手数料が年812万円に上るなど経営を圧迫する状況は明白であり、医療・介護分野には定額制・上限設定を適用すべきと提言した。その一方で、自施設の魅力を発信する会員施設側の努力も必要と指摘。ハローワークに、医療・介護の専門部署を設けることも提言した。

 池端幸彦副会長も、国による規制は自由競争の妨げとなるものの、公的資金が紹介料の原資になっていることを念頭に、「何らかの手立てはあるのではないか」と語った。

参考資料