最新制度解説

速報(JS-Weekly)

〈財務省〉

財政制度等審議会財政制度分科会を開催 全世代型社会保障の構築に向けた取り組みの加速を

JS-Weekly No.854

#全世代型社会保障 #保健医療支出

全世代型社会保障、極めて優先度が高い課題であるが、取り組みが不十分

 財務省は11月7日に財政制度等審議会財政制度分科会を開催。出席した委員などによると、全世代型社会保障は少子高齢化が加速する中で極めて優先度の高い課題であるが、現行制度を見渡すと「『能力に応じて負担し、必要に応じて給付し、持続可能な制度を次世代に伝える』という考え方がまだまだ徹底されていない部分が目立つ」と指摘。全世代型社会保障の構築に向けた取り組みを加速する必要があると力説した。課題としては、次のような点が挙がった。

  • 年齢に着目した負担の差が多く残っている(医療費の窓口負担・高額療養費・保険料、金融所得・資産に着目していない)
  • 負担が負担能力の多寡に対応していない(健保組合の保険料負担、国保組合の国庫補助、介護の窓口負担)
  • 事業主や企業の負担のあり方にさらに検討が必要(「勤労者皆保険」に向けた適用拡大など)
  • 少子化対策の観点から必要な支援の検討が必要(0〜2歳、育休の対象となっていない層)
  • 給付を効率的・効果的なものとするため、医療提供体制の見直しが必要(地域医療構想、かかりつけ医機能の発揮)、介護のケアマネジメント・軽度者の給付のあり方の見直し
  • 国民負担軽減のため給付範囲の見直しが必要

保健医療支出の伸び、経済成長率と乖離しないことを1つの中間目標に

 医療の総論では、日本の医療保険制度は「患者側が受診コストを意識しづらく、医療機関側は患者数・診療行為数が増えるほど収入が増えるという構造」になっていると指摘。「高齢化・人口減少に伴って給付水準を自動的に調整する仕組みがない」と問題提起をした。

 また、国内総生産(GDP)に占める保健医療支出の割合はOECD(経済協力開発機構)で5番目に高く、政府支出に占める公的医療費の割合はOECDで2番目に高い状況にある。保健医療支出の伸びが経済成長率と乖離しないことを「1つのメルクマール(中間目標)としていくことが考えられる」とまとめた。

参考資料