こころとからだ

こころの橋わたし

〈お悩み 23〉はっきりとした 物言いの人が苦手です。 悪気がないのは 分かるのですが 聞きたくない一心で 耳を遠ざけてしまいます。

「介」という字には「間でとりもつ」「たすける」という意味があります。
尊いお仕事をされている皆さまのこころとこころをつなぐヒントを二本立てでお送りします。

 

 

 

 

お悩み1

はっきりとした 物言いの人が苦手です。
悪気がないのは 分かるのですが
聞きたくない一心で 耳を遠ざけてしまいます。

 

妙慶

きつい言い方に潜む
その人の「怖れ」にも目を向けて
あなたが名キャッチャーとなり
受け取り方を 変えてみませんか。

 

 ようこそおたずねくださいました。

 どれだけ正論であっても強いことばを向けられると、思わず身を引き、耳も心も閉ざしてしまうのはごく自然なことです。

 意外に思われるかもしれませんが、はっきり物を言う方の中には、不安を抱えやすい方が少なくありません。「誤解されたらどうしよう」「自分の立場を守らなければ」という思いから、ことばが強く、まっすぐになってしまうことがあるのです。

 だから「言い方がきついな」と感じたら、相手の心の奥にある「怖れ」にもそっと目を向けてみてください。すると、人間関係の景色が少し変わるかもしれません。本当は言わない方が楽なのに、あえて言葉を投げかけるのは、あなたを信じているからこそ、という場合もあります。

 とはいえ、剛速球は誰でも受け止めきれません。そんな時は「否定の剛速球なのか、期待の剛速球なのか」と、心の中で問い直してみてください。「あなたに分かってほしい」より「自分を守りたい」ための直球なら、それであなたが変わるのではなく、「受け取り方」を変えてみるのはどうでしょうか。

 名キャッチャーとなり、笑顔で「ありがとう」と伝えられたら、剛速球を投げたあとのその人の人生は大きく変わることでしょう。

 

 

お悩み2

「ありがとう」や 「ごめんなさい」を
言わない同僚がいます。
注意するのも角が立ちそうで
心にモヤモヤが残り続けます。

 

妙慶

人を大切にしたいという
思いをこれからも大切に
あなたが職場の空気を
やさしく変えてみませんか。

 

 介護のお仕事は、人と人との関係性の中で成り立っているからこそ、「ありがとう」「ごめんなさい」という言葉がないことは、小さなことのようでいて、心には大きく残りますよね。あなたの「モヤモヤ」は、「人を大切にしたい」という心のあらわれだと思います。

 さて、私は、こんなふうにも感じるのです。「ありがとう」と口に出せないのは、もしかすると、幼いころにその言葉を十分に受け取る機会が少なかったのかもしれません。聞くことがなければ、自然と口に出すことも難しくなるのでしょう。

 また、人は心に余裕がなくなると、感謝やお詫びの言葉が出にくくなるものです。ましてや介護の現場では、忙しさや緊張の中で、言葉がこぼれ落ちてしまうこともあるのかもしれません。

 仏さまは、「相手を変えようとすると苦しみが増え、自分の在り方を確かめると、心が整っていく」と教えてくださいます。あなたが「ありがとう」「すみません」を、これからも大切に使い続けることで、その姿が職場の空気を静かに、やさしく変え、そのぬくもりに心を動かされた方が、いつか自然に「ありがとう」「ごめんなさい」と口にするようになるかもしれませんね。

 

二年間、月刊老施協を拝読しながら
皆さまのお仕事がどれほど尊いものかを教えていただきました。
ご利用者を支える仕事の中で、これから心が折れそうになったときは、
「いい加減」の気持ちで生きてほしいのです。
力を加え過ぎたときは、どこかでそっと力を抜く。それが本当の「良い加減」です。
これからもこのご縁が、あたたかくつながってまいりますように。
本当にありがとうございました。
 川村妙慶 2026年3月