福祉施設SX
能登半島地震と 全国老施協DWATの 活動を振り返ってvol.4 石川県老施協に聞く
県社協職員は震度5以上の地震の場合、事務所に参集することになっていましたので、すぐに駆けつけ、1月1日の夕方から県長寿社会課と連絡を取り合い、施設の被害状況などの情報把握に努めましたが、電話がつながりにくく、被害も広範囲だったことから、すぐに状況を把握することは困難でした。1月3日にいったん被害状況を取りまとめ、全国老施協へ報告しました。その後も行政と協力しながら、連絡が取れない施設への確認作業を継続しましたが、どうしても固定電話も携帯電話もつながらない場合には、職員の個人的なつながりも活用してなんとか情報収集を行いました。
施設では施設長が避難所から施設に向かえない状況であったり、職員が少ない中での対応を強いられるなど、年末年始の時期と重なったことで人員体制も厳しい状況でした。
発災直後から、食料や水、灯油などの物資が足りないという訴えがありました。これは不足している物資の受け取り方が、福祉避難所として指定を受けている場合と、そうでない場合とで異なることが周知されていなかったことが原因ではないかと思います。また、被害が大きかった地域では道路状況が悪く渋滞が発生し、運搬に時間がかかったことが要因ではないでしょうか。
食料などの物資についての具体的な要望としては、感染症の流行時には「ゼリー食がほしい」、インスタントや保存のきく食品が続いたため「野菜などの生鮮食品がほしい」、水道が長期間使用できなかったので「衛生品が足りない」という声とともに、「ご利用者を避難させたいので、避難先を探してほしい」などがあり、その後は、「修繕業者がいない・来ない」「見積もりが取れない」などの声もあって、BCPの見直しに活かさなくてはならないと思いました。
またBCPに、長期間の事業休止後の再開方法が想定されておらず、避難したご利用者の戻し搬送や職員の確保、建物の修繕時期など、さまざまな課題を想定して再開までの道筋を作っておくことが必要なのではないかという声が聞かれました。
今回は全国老施協DWATの柔軟な対応に大変助けられました。被災施設から応援要請があったのはもちろんですが、被災施設のご利用者の避難先となった県南の施設からも応援要請があり、同時に複数の施設から応援希望があった際には、原則1チーム5人のところを、2チームに分けてもらうこともありました。チーム編成においては、看護師、介護士、ケアマネジャー、栄養士など、必要な職種の要望に応じてメンバーを組み合わせたり柔軟に対応していただけたのも、全国老施協の組織力があればこそと思いました。現場でも被災施設の意図をくんで動いてくださって助かったと聞いています。
本来であれば県南でチーム編成をし、応援に入りたかったのですが、1.5次避難所への職員派遣や避難してこられたご利用者の支援などで、県内のどの地域でも人手が不足した状態となり、他県からの応援に頼らざるを得ない状況の中、全国老施協のおかげで素早いチーム編成ができました。
災害時のための県内の会員施設同士の協定もあるのですが、今回のように被害が広範囲に及ぶ場合は、県内の応援は難しくなります。広範囲にわたる被災の場合と、部分的な被災の場合の想定を、分けて考えておいた方がよいかもしれませんし、今後は長期派遣も想定しなければならないと思いました。