
今大会最後のプログラムは、JS次世代委員会による「チャットリ!大会議」。「チャットリ」とは「JSチャットーク&リサーチ」の略で、LINEチャットの登録者が施設運営に関する悩みや質問を投稿し、他の登録者がリプライしたり、登壇者が回答したりする仕組み。この日のLINEチャット登録数は約350名。オンデマンド配信もされており、来場者以外にも100名以上の方々が登録して参加しました。

全国のリーダー同士が 「つながる」場に
開会に先立ち、司会の堀之内康弘幹事より、連絡事項や注意点のほか、今回のプログラムは、「つながり」を大事にする場であることが説明されました。
開会式は全国老施協小泉立志副会長のあいさつでスタート。「JS次世代委員会の目的は『次世代を担うリーダーの育成とネットワークづくり』です。リーダーとなり、困ったことがあった時に相談できる相手がいたらどれだけ心強いか、私自身、身にしみて感じています。皆さんが仕事を進めやすくなるように普段からチャットリを役立ててください」とネットワークづくりの大切さを強調しました。また「チャットリ」の平常時の利用時間について、小泉副会長自身が早朝に送信してしまった時の失敗談を交えながら「朝8時半~夜8時半」というルールを改めて伝えました。
スマホを見ながら 参加する目新しい座談会
続いて原本一委員長より「人をつなぐ、情報をつなぐ、思いをつなぐ」というJS次世代委員会の活動の目的とともに、今日の「チャットリ!大会議」について、「チャットを通じて来場者と登壇者が座談会形式でつながり、施設の運営・経営におけるさまざまな悩みを共有するだけでなく、問題解決の糸口を見つける場」であることが説明されました。LINEチャットに参加する手順と、リプライ機能を使った質問への回答方法も紹介し、「前向きなご質問やリプライは大歓迎です。発言は苦手な方でも、チャットなら参加しやすいと思いますので、スマホを見ながら参加するという新たなチャレンジと、研修とはひと味違う雰囲気を楽しんでください」と来場者に呼びかけました。

参加者から質問やリプライが続々と
Q 職員の異動への抵抗感を 軽減する方法は?
まずはじめに「他のユニットのことも知ってもらうために、定期的な異動を実施したいが、多くの職員が抵抗を感じている。他の施設ではどのような工夫をしているか?」という質問が投稿されました。それに対し土井副委員長は、「自分が必要ないから異動になったのでは、とネガティブに捉えられがちなので、定期異動を設定し、むしろ必要とされて異動する、という前向きな伝え方が重要。日頃からフロアやユニットを超えた交流やヘルプを行うことも未知の場所への抵抗感を減らすことにつながる」という意見が示されました。 また、熊谷委員の法人では、「ユニットごとに特徴があるため、利用者さんへの愛着などからやはり異動には抵抗を示されることが多い。その対策として異動を常態的に行い、業務のなかで当たり前のこととして意識づけをしていくことが大切」と話しました。
Q 宿直をどのように運用しているか?
宿直の現状についての質問では、会場の参加者に挙手を求めたところ、約4分の1が宿直を廃止済みか、廃止予定であることがわかりました。女性キャリアアップ推進委員会の若林委員長の施設では、4月に職員に通達して9月に廃止したところ、暖房の消し忘れなどの新たな課題が生まれ、対策を講じていることが報告されました。
Q ICTや見守りセンサーの導入は どのように進めているか?
「見守りセンサーの設置は尊厳やプライバシーの課題がある。ご本人やご家族から同意を得られない場合はどうしているか?」という質問に対して、古川委員は「現在は、90床のうち同意を得られた20床に設置している。つけることで転倒事故の原因分析ができたり、さまざまなリスク軽減のメリットがあることを説明すると最終的には設置に納得していただけることもある」と説明。土井副委員長からは、カメラは固定ではなく、必要性や希望に応じて移動できる体制を整えていることが発表されました。
Q オンコール手当はどのくらいか?
「看護師からオンコール手当が低いと不満が上がっており、他施設の金額を知りたい」という質問に対しては、登壇者それぞれの施設の金額が発表され、1日当たり500~3000円と幅広く設定されていることが明らかになりました。夜間の出動時には別途残業代を支給する施設や、基本給の3%を支給する施設もあり、看護師の負担軽減と適正な報酬のバランスについて議論されました。
Q 男性の育休取得は どのくらい進んでいるか?
近年増加している男性の育休取得率について質問があり、原本委員長の施設では、人生の貴重な経験であることから積極的に取得されていること、また、堀之内幹事の施設では、男性の育休取得者は少なく、夫婦で同じ施設で働いている場合、妻側に有給を多く配分するなど柔軟に運用していることが報告されました。さらに最近の傾向として、給与よりも休暇にこだわる職員が増えていることが指摘され、ワークライフバランスへの意識の変化から、各施設とも今後さらに育休取得を促進していく方向性が示されました。
そのほかにも、生産性向上の取り組みや、労働基準法改正の介護業界への影響についてなど、さまざまな質問が寄せられました。土井副委員長は講評で、委員と来場者が双方向でやり取りできたことを評価。さらに来場者以外にも100名以上がチャットリに参加しており、会場にいなくても参加できる画期的な仕組みであることを強調しました。原本委員長は閉会のあいさつで「チャットリを、今日だけでなく、日頃から手軽に、気兼ねなく楽しんでください。今後も、皆さんが仕事で悩んだ時に頼れる存在となるよう、アップデートしていきます」と決意を表明しました。最後には名刺交換を促すアナウンスがあり、 人、情報、思いをつなぐという、JS次世代委員会のモットーが存分に発揮されたプログラムとなりました。
撮影=菓子谷 梨沙、児玉 一成、吉本 博史 取材・文=冨部 志保子、池田 佳寿子、箭本 美帆、濵口 ゆかり