福祉施設SX
J Sフェスティバル in山口 誌上レポート5 女性キャリアアップ推進委員会プログラム 女性活躍と 多様性が創る 新しい組織とは

介護現場で活躍する人材が多様化していることで、より一層、職場に一体感が求められています。女性をはじめ、さまざまな人材が自分らしく活躍できる組織づくりについて、専門家と介護現場、両方の視点から、具体的な事例を交えながら意見交換しました。

“多様な人材が活躍できる組織の実現を”
女性の活躍の場の拡大には働き方改革と カップルでの子育てが鍵

一人ひとりが “自分らしく活躍できる”組織を
重要なのは女性や外国籍社員を一様に捉えるのではなく、一人ひとりの職員が“自分らしく活躍できる”組織を目指すこと。女性だけでなく、性別、国籍、年齢などにかかわらず全社員が活躍できる組織づくりが、結果として女性も活躍できる組織になるからです。人手不足は今後ますます進行することが予測されているため、国籍、価値観問わず、ポテンシャルや意欲があれば受け入れ、育成することが必要な時代。多様な考え方の人を受け入れても、職場のまとまりを保つために、組織の理念をしっかり浸透させることも大切です。
働き方改革では、多様な人材が活躍できるよう、フルタイム勤務だけでなく、短時間勤務や週3日勤務なども取り入れることが重要です。育児と並び、介護と仕事の両立支援も重視しなければなりません。なぜなら子育てと違い、親の介護はいつ始まるか予測しにくく、期間も平均で4、5年、約15%は10年以上と、長期化する可能性があるからです。2025年の4月から、職員が安心して介護と仕事を両立するための職場環境整備の一環として、40歳になる職員には、介護休業や介護両立支援制度などの情報提供をすることが義務づけられました。シフト変更の融通が利く職場では、親の介護に直面しても働き続けられる傾向がありますので、対策は急務です。
子育てとの両立は パートナーや家族のサポートが不可欠
子育てとの両立に関しては、勤務先のサポートだけでなく、女性のパートナーや家族のサポートが不可欠です。その対策として、女性職員が育児休業から復帰する際に、配偶者も呼んで、これから二人でどのように子育てをするか一緒に話し合う場を設ける企業も出てきています。こういった取り組みによって女性職員がいつも定時で帰るのではなく、必要であれば残業できて、夫が保育園に迎えに行く環境をつくりやすくなります。さらに、希望すればフルタイム勤務に戻って、無理なく仕事と子育てができる環境づくりも非常に重要です。女性をはじめ、すべての職員が働きやすい環境を整えることで、多様な人材が活躍できる組織を目指していただきたいと思います。
多様な人財が活躍できる 職場を目指して

独自のシステムと教育支援で 外国人のキャリアアップを支援
今山会は人手不足とリーダーになりたがらない人が多いという課題、外国人だからできないという思い込みや、資格取得の壁に焦点を当て、キャリアアップや伴走型の教育システムを構築。国籍関係なくキャリアアップへの自信をつけることを目的とした取り組みを行っています。
外国人の受け入れは2010年のEPAから始まり、さまざまなルートから採用。介護職員91名のうち外国人は28名で、介護福祉士12名を含む資格保有者が在籍しています。キャリアアップシステムではパートタイムの方も資格取得や、“できること”を増やして、自信、成長、報酬につなげており、技能実習生には定期的に報酬を提示しながらキャリアアップの意思を確認しています。また専門家による日本語教育や現場指導のほか、2023年からはグループ企業で初任者研修と実務者研修を実施。第一期の技能実習生3名が介護福祉士に合格。第三期は5名が今年受験予定です。
現在は施設長1名、リーダー4名と、役職の約25%が外国人です。施設長のSさんは「“外国人も挑戦できる”というロールモデルになりたい」と話し、日本人の職員からは「仕事をしながら資格を取ることは尊敬する。自分も頑張ろう」といった声が聞かれます。今後も意識改革と環境整備を進め、一人ひとりにあった活躍の場を提供することで、人種や性別、雇用形態に関わらず、すべての職員が輝く職場を実現していきます。
品質・労働安全衛生 二つのマネジメントシステムで
働きやすい・働きがいのある 職場をつくる

全職員が希望をもって働ける 職場づくりを
松美会は品質のISO9001と労働安全衛生の ISO45001の二つのマネジメントシステムを導入しており、これが松美会のあらゆる取り組みのベースとなっています。ISO9001では業務の標準化によるストレス軽減、教育研修の仕組み整備などを実現。ISO45001では安全と健康を最優先する組織文化の定着、危険や負担の見える化と改善などを実現。これらの取り組みによって働きやすい職場・働きがいのある職場をつくっています。
また利用者本位、職員重視、社会との調和、独自能力という4つの視点からの「満足」を追求。令和6年の離職率は特養10・3%、ホームヘルプサービス5・3%であり、60歳定年者の継続雇用希望者は100%で推移。新卒採用は令和元年から介護福祉士10名を採用し、9人が定着。職員仕事満足度調査を平成18年から継続的に実施し、満足度が低い項目は改善に向けた取り組みを行っています。 若者が希望をもって働ける職場づくりも推進しており、令和元年以降の新卒入職者10人へのアンケート調査では「働く環境」「人の役に立つ仕事」「職場の雰囲気」などが当法人を選んだ理由として多数の方に選ばれました。今後も、若者や女性はもちろん、すべての職員が希望をもって働ける職場を実現するための取り組みを進めます。

撮影=菓子谷 梨沙、児玉 一成、吉本 博史 取材・文=冨部 志保子、池田 佳寿子、箭本 美帆、濵口 ゆかり