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速報(JS-Weekly)

機能性表示食品制度の信頼性問題と政府の見直し検討

#機能性表示食品制度  

 小林製薬(大阪市)が販売していた「紅こうじ」の成分を含むサプリメントの健康被害問題に端を発し、機能性表示食品制度の信頼が揺らいでいる。2015年4月に始まり、10年目となる制度は「体脂肪を減らす」「血圧を正常にする」といった「機能性」を分かりやすく表示することで、消費者にとって商品選択の幅が広がるなどメリットがあり、市場規模は拡大。一方、消費者団体からは「安全性を事業者任せにしている」などと疑問の声が上がっていた。

 「以前にも、各界からご意見をいただいているところは承知をしています」。新井ゆたか消費者庁長官は3月28日、記者会見で機能性表示食品制度に関する見解を述べた。自見英子消費者・食品安全担当相も、制度自体の見直しが選択肢にあるとの考えを示している。

 小林製薬の問題は、大規模な健康被害を出した原因がまだ特定されておらず、機能性表示食品として届け出た科学的根拠に問題があったのかどうかは、現時点では明らかになっていない。そうした中で政権幹部が早々に見直しに向けた姿勢を打ち出した背景には、同制度の安全性について、これまでも懸念の声が根強かったことがある。

 ▽5年で3倍

 15年開始の同制度。急激な伸びを見せ、18年からの5年間で3倍超となる6865億円の市場規模(富士経済調べ)にまで膨らんだ。今年3月時点での届け出は約6800件。事業者の責任で安全性や機能性の科学的根拠を示せば届け出ができるという「手軽さ」は、事業者にも魅力的だった。

 だが膨大になった製品数には、ひずみも生じる。消費者庁の担当者は「全ての届け出製品を網羅的にチェックするのは厳しい」とこぼす。

 ▽お墨付き?

  特定保健用食品(トクホ)が国で効果や安全性を審査して許可する仕組みであるのに対して、機能性表示食品は国が審査をしないという大きな違いがある。だが消費者によっては、両方が「お墨付き」のようにも見えてしまう。

 以前から制度を問題視していた消費者団体の主婦連合会は、事業者任せの現行制度に関し「抜本的改革を進めること」などとする意見書を発表した。

 政府は3月29日、機能性表示食品制度の在り方について、5月末をめどに取りまとめるよう消費者庁に指示。同庁は届け出をしている約1700事業者に対し、健康被害の有無や情報把握の体制に関し、4月12日を回答期限とする質問状を既に送付しており、結果を注視する構えだ。