最新制度解説

速報(JS-Weekly)

改正感染症法が4月1日に完全施行

#改正感染症法 #医療提供の義務化

 新たな感染症危機に備え、医療機関に医療提供を義務づけることを目的とする改正感染症法が4月1日に完全施行された。病床や発熱外来が不足した新型コロナウイルス禍の教訓を踏まえ、医療体制を事前に確保する仕組みが整うものの、義務化対象外の医療機関もあり、協力体制には課題が残る。

 改正法は、国や自治体、健康保険組合などが開設する「公的医療機関等」などに医療提供を義務づけ、都道府県知事は、具体的な提供内容として(1)病床(2)外来診療(3)自宅療養者への医療などを通知。義務化の対象外の医療機関は、合意の上で知事と協定を結ぶ。医療機関が通知や協定に従わない場合、知事は勧告や指示ができる。

 一方、確保見込みの病床は昨年12月15日時点で3万3723床と、政府が今年9月までの目標とする5万1000床には遠く及ばない。新型コロナウイルス流行時は、患者受け入れを優先したことで他の診療の縮小が起こり大幅減収となったケースが多く、義務化対象外の医療機関には減収に対する懸念が根強い。厚生労働省は、国による財政支援について「感染症の特性や状況を踏まえて検討する」としており、引き続き協力を呼びかける考えだ。

 改正法ではこのほか、都道府県をまたいだ医療人材の派遣や、マスクなどの物資を確保するための規定なども盛り込まれている。