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速報(JS-Weekly)

〈東京商工リサーチ〉

介護事業者の休廃業・解散、令和5年は510件で過去最多 人手不足などが影響

JS-Weekly No.912

#介護事業者 #倒産 #休廃業・解散

訪問介護事業の倒産件数は67件で過去最多。ヘルパー不足や燃料費高騰などが影響

 東京商工リサーチは1月17日、令和5年の「老人福祉・介護事業」の倒産、休廃業・解散調査を発表した。介護事業者の倒産件数は122件(前年比14.6%減)で、過去2番目の高水準であった。また、休廃業・解散した介護事業者は510件(前年比3.0%増)で、調査を開始した平成22年以来、過去最多を記録した。同社は「人手不足などで経営が悪化し、倒産する前に早めに事業継続を断念した介護事業者が多い」と分析している。

 倒産件数を業種別で見ると、「訪問介護事業」が67件(前年比34.0%増)と急増、介護保険制度がスタートした平成12年以降で過去最多を更新。同社は「ヘルパー不足や高齢化、燃料費の高騰などが影響した」とみている。次いで「通所・短期入所介護事業」が41件(前年比40.5%減)、有料老人ホームが4件(前年比66.7%減)であった。

 従業員数別では、「5人未満」が75件(前年比11.7%減)と最多で、次いで「5人以上10人未満」が27件(同15.6%減)で、10人未満が102件と8割超を占め、小規模事業者の倒産が目立った。

 都道府県別では、大阪府が18件(前年17件)と最多で、次いで東京都が15件(前年同数)、神奈川県が10件(前年20件)と続いた。

出典:東京商工リサーチ

 小・零細規模の事業者は、ICTの利用促進がコスト面や人材面でも困難な一方で、大手保険会社やファンドなど異業種が介護業界に参入する動きも強まり、競合が激化している。このため、同社は、今年も一段と小・零細事業者の倒産、休廃業・解散が増勢を強めると分析している。

参考資料