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速報(JS-Weekly)

〈東京商工リサーチ〉

コロナ禍と物価高で、介護事業者の倒産は過去最多を記録

JS-Weekly No.863

#コロナ禍 #物価高 #倒産

新型コロナ関連の倒産が前年比5.7倍と急増

 東京商工リサーチは1月11日、介護事業者の倒産についてのリポートを公表した。

 長引くコロナ禍や物価高なども影響し、令和4年の「老人福祉・介護事業」の倒産は143件で前年比76.5%増、介護保険制度が始まった平成12年以降で過去最多を記録した。負債総額は221億3800万円(同71.8%増)で、平成20年の192億5500万円を上回った。

 特に新型コロナウイルス感染症関連による倒産が急増し、前年比5.7倍の63件となった。

 倒産を業種別にみると、「通所・短期入所介護事業」が69件(前年17件)と急増した。デイサービスの(株)ステップぱーとなーとグループ会社(31件)の連鎖倒産や大手事業者との競合激化が背景にあるとみられる。次いで、「訪問介護事業」が50件(同47件)、「有料老人ホーム」が12件(同4件)だった。

「老人福祉・介護事業」の倒産は、介護報酬のマイナス改定や人手不足、競争激化などで平成28年に急増、以降は高水準で推移している。さらに令和2年のコロナ感染拡大による利用控えで過去最多を更新したが、令和3年は、コロナ関連の資金繰り支援策などで大幅な減少に転じた。しかし、令和4年は支援策の縮小や物価上昇によるコスト高、人手不足などが追い打ちをかけたとみられている。

参考資料