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第22回 子供の頃から苦手な試験に対し、緊張せず平常心で臨む方法を教えてください。
2024.01 老施協 MONTHLY
健康社会学者として活動する河合 薫さんが、介護現場で忙しく働く皆さんへ、自分らしく働き、自分らしく生きるヒントを贈ります。
緊張する原因を探し出し 対応策を考えるのがベスト
私は昔から試験に強かった。確かに、前日に胃がキリキリ痛んだり、学校で具合が悪くなったり、ベッドでも胸がドキドキして眠れなかったりしたことはあった。しかし、当日の朝目覚めると「よっし! やるしかない」と開き直れた。決め手は「勝負パンツ」だ(笑)。オレンジのパンツをバシっとはいて「大丈夫! できることは全てやった」と自分を励ました。とはいえ、最初からこうだったわけではない。見掛けによらず〝緊張しい〟なので、自分が緊張する原因を突き止め「開き直るルーティン」を作り実行した。すると「本番女王」に大変身だ。
今回の相談者の桜田さんも〝緊張しい〟。介護福祉士試験合格を目指す20代の介護士だ。
「子供の頃から試験が苦手で、問題用紙を配られただけで、頭が真っ白になってしまいます。どうしたら平常心でいられるでしょうか。試験直前の効果的な勉強方法も併せて教えてください」―。
前述した通り「緊張する原因」を探し出し、その対応策を考えるのがベストだ。とはいえ試験は1月下旬。今からそれをやる時間はほぼない。一方で、悪い緊張を良い緊張に変える方法は、万人に共通するので、ノートを一冊準備して、以下のステップを実践してほしい。
- 試験会場までの行き方、時間、万が一トラブルがあった場合の連絡先を調べ、ノートに書く。
- 試験前日から当日試験会場に着くまでのスケジュールを細かく書く。起床時刻、食事の時間・場所(食べ物・飲み物含む)、お風呂の時間、寝る時間。もちろん、勉強の振り返り時間も確保。
- 表紙に「大丈夫! これだけやった!」と大きく書く。
- 最後のページ(ノートを買った日)から、毎日10分間、「出る可能性が高いポイント」と「なかなか覚えられなかった単語と意味」を書き出すこと。1日1ページを使ってとにかく「毎日書く!」。ただし、書き過ぎは禁物なので、パッと見て頭に入る量に納めること。
試験当日、このノートを試験会場に持参すればお守りになる。そして、試験官の指示が出るまで見続ける。心臓がドキドキするときは目を閉じ、ノートに手を置き大きく深呼吸。「できることは全てやった」と何度も自分に言い聞かせ、大丈夫と自己暗示をかけてください。私は準備不足だと緊張することが分かったので、’23年10月号で紹介した『穴あけ勉強法』のノートがお守りとなりました。
さぁ、頑張って! 大丈夫だ!
健康社会学者(Ph.D.)/気象予報士
河合薫
Profile●かわい・かおる=東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D.)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。退社後、気象予報士として「ニュースステーション」(テレビ朝日系)などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究に関わるとともに、講演や執筆活動を行う
イラスト=佐藤加奈子