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速報(JS-Weekly)

介護福祉士国家試験に「パート合格制度」を導入

#介護福祉士国家試験 #パート合格制度 #新方式

▶令和7年度から新方式に―受験の利便性向上と人材確保を両立

 厚生労働省は5月27日、介護福祉士国家試験において「パート合格(合格パートの受験免除)」制度を導入すると発表した。本制度は第38回国家試験(令和8年1月実施予定)から適用される。導入の背景には、2040年度までに新たに約57万人の介護職員が必要とされるという推計や、国家試験の受験者数の減少傾向がある。厚労省は、高い専門性を有する人材を安定的に確保・育成することを喫緊の課題と位置づけ、受験環境の整備を進める必要があるとしている。

 パート合格とは、国家試験を3つのパートに分割し、一定の合格水準に達したパートについては、翌年および翌々年の試験で当該パートの受験を免除する制度である。受験者は初回受験時には全パートを受験する必要があるが、不合格パートのみ再受験する選択が可能となる。この仕組みにより、一人ひとりの状況に応じた学習の選択肢が拡がり、就労と学習の両立がしやすくなることが期待されている。

 国家試験は全13科目(11科目群)から構成されており、新制度では以下の3パートに分割される。Aパートは「人間の尊厳と自立」「介護の基本」「生活支援技術」等、Bパートは「こころとからだのしくみ」「認知症の理解」「医療的ケア」等、Cパートは「介護過程」「総合問題」となっている。

 合格基準については、現行と同様に総得点の6割程度を基準とし、難易度による補正後の得点に加えて、全科目群に得点があることが求められる。パートごとの合否判定においても、同様に構成科目群すべてに得点が必要である。パート合格の有効期限は、合格年の翌々年までとされており、その間に不合格パートのみ再受験すればよい。仮に再度全パートを受験し、既合格パートで再び合格した場合は、有効期限の延長も可能となっている。

 また、介護福祉士資格は全パートに合格した者にのみ付与され、パート合格の段階では介護福祉士としての資格は得られない。したがって、配置基準や介護報酬の算定にも含まれない点には注意が必要である。

 今回の制度導入は、国家試験の質を担保しつつ、受験者の利便性を高める取り組みの一環である。特に介護現場で働きながら受験を目指す実務経験ルートの受験者や、日本語と介護専門知識の両方を学ぶ必要のある外国人受験者にとっては、大きな支援となるだろう。

 なお、令和7年度の第38回試験はパート合格制度導入後の初めての試験となるため、全受検者が全パートを受験する必要がある。

(参考資料:https://www.mhlw.go.jp/content/001493957.pdf