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特集

老人福祉施設でも活かせる 雇用関係の助成金があります

監修:UI総合事務所 井上真弓社会保険労務士
税理士と社会保険労務士による総合事務所。 税務・労務を中心に起業家・経営者の経理や会計、 税金や申告、社会保険や助成金についてサポートしている。

人材確保のための助成金活用

 補助金・助成金とは、国(経済産業省や厚生労働省)や地方公共団体が事業者を経済的に支援するために金銭を支給する制度です。支給された金銭は原則として返済不要で、事業継続や雇用維持などの支給目的を実現させるために使えます。

 新型コロナウイルス感染症の影響が薄れつつあるものの、物価高騰などでコストの増大が続く中、助かるのは補助金や助成金です。

 そこで今回は広く一般的な事業者のために告示されている中から、特別養護老人ホームなど、老人福祉施設が応募可能な雇用にまつわる助成金についてご紹介します。

 介護事業所において人材の確保や定着はとても重要な課題です。雇用関係の助成金は雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両⽴⽀援、従業員の能⼒向上などに活用することを目的としたものです。助成金を活用して人材の確保や定着を図ることはとても有益です。

*各種助成金における個別の要件を満たした場合に支給されます。詳細は本文をご参照ください。

 

一度離職した女性の キャリアアップ支援にも

 豊富な人材が集まる働きやすい職場環境を整える取り組みの一つとして、有期雇用労働者等(いわゆる非正規社員)の正社員化を目指すという選択があります。非正規社員のキャリアアップを支援し正社員化するということは、新たな採用・育成にかかる人件費の抑制にもつながります。

 例えば介護業界は女性の比率が高いので、育児介護等ライフイベントに伴い離職という選択になる場合もあるでしょう。一度離職した人材に培った経験・能力を再び活かしていただけるように、働き方や育児介護等両立を支援しながら寄り添い、キャリアアップにチャレンジできる環境を整えることが、人材不足への有効な対策となります。

 

キャリアアアップ助成金とは

 有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(以下、「有期雇用労働者等」という。)の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して助成するものです。

対象となる労働者の詳細な条件については「キャリアアップ助成金のご案内・令和6年度版」 https://www.mhlw.go.jp/content/11910500/001239298.pdfをご覧ください。

 

 

キャリアアップ助成金 正社員化支援・正社員化コース 点検ポイント

 有期雇用労働者等非正規労働者を正社員に転換することで受給できる助成金なので【正社員】と【非正規社員】の区分を就業規則等でしっかりと規定し適用していることがポイントになります。非正規社員として正社員とは異なる雇用区分の就業規則等の適用を6カ月以上受けて雇用される有期雇用労働者または無期雇用労働者が正社員に転換された場合に受給できます。

 適用範囲や定義が曖昧だとトラブルに発展する恐れもあります。就業規則上で適用範囲を明示しているかどうか、「パートタイマー、有期雇用労働者については別に定めるところによる」などと規定していてその就業規則があるかどうかなど、就業規則の適用範囲や定義をこの機会に確認しましょう。

 ほかにも各種助成金があり、パンフレットや検索ツールから確認することができます。

 助成金は支給要件など確認して該当するかどうかを判断する必要があります。実際に申請する場合には関係省庁や専門家にご相談の上、進めるようにしましょう。

《就業規則について》
労働基準法第89条には「常時10人以上の労働者を使用する事業場では就業規則を必ず作成しなければならない。」とあります。10人未満である場合は作成しなくても差し支えないとされていますが、労働条件や職場で守るべき規律などをめぐる事業主と労働者のトラブルを未然に防ぎ明るい職場づくりに寄与するという役割から考えても作成することが望ましいとされています。作成しましたら、事業所所在地管轄の労働基準監督署に届け出ましょう。