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身寄りのない高齢者支援へモデル事業実施、厚労省が検討会で報告
#身寄りのない高齢者支援 #支援策 #第5回地域共生社会の在り方検討会議
厚生労働省は、身寄りのない高齢者が直面する課題に対応するため、今年度から市町村を実施主体とする2種類のモデル事業を進めている。10月29日に開催された「第5回地域共生社会の在り方検討会議」(座長:宮本太郎・中央大学法学部教授)で進捗が報告された。
1つ目の「総合的な支援パッケージ」モデル事業では、入院や入所時の手続き代行といった「身元保証の代替」、介護保険サービス利用の手続きや公共料金支払いの代行など「日常生活上の支援」、および「死後の事務支援」を、自治体が社会福祉協議会などに委託して提供。福岡市を含む5自治体で事業が展開され、実施に伴う課題の検証が行われている。
もう1つの「包括的な相談・調整窓口」の整備事業では、コーディネーターを配置し、高齢者からの相談を受け付ける。コーディネーターは、入居支援や見守り支援、終活支援、死後対応などを組み合わせ、自治体や民間事業者が提供するサービスを基に支援計画を作成し、その履行状況を管理する。愛知県岡崎市など4自治体がこのモデル事業に取り組んでいる。
会議で新潟大学法学部の上山泰教授は、総合的な支援パッケージについて「地域の一事業者が独占する事態を避けるべき」とし、支援者が自由に事業者を選べる体制の整備が必要であると述べた。早稲田大学の菊池馨実教授も「今後の支援の方向性を示している」と評価し、既存の介護保険や障害福祉の窓口との重複を避け、連携を強化することの重要性を指摘した。
さらに、厚労省は身寄りのない高齢者支援における論点として以下の3点を挙げ、引き続き議論を深める方針を示した。
・身元保証、日常生活支援、死後事務の処理などの生活上の課題への相談対応
・資力不足で民間事業者の支援が受けられない人への支援内容と方法
・地域で高齢者を支えるための関係機関とのネットワーク構築