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栃木県が養護老人ホームの入所措置等に係る市町担当者研修会を開催 大山会長が全国・県の養護老人ホームの現状について講演
まず求められる市町担当者の制度理解と現状把握
令和8年7月28日に、栃木県において「令和8(2026)年度栃木県養護老人ホームの入所措置等に係る市町担当者研修会」(主催:栃木県保健福祉部高齢対策課)が行われた。高齢・単身世帯の増加に伴って、社会的孤立等の問題が顕在化する中、居宅での生活が困難な低所得の高齢者の受け皿として、措置施設である養護老人ホームの役割は、一層重要なものとなっている。しかし、社会経済情勢や地域の実情等を勘案した措置費等の改定が多くの市町で進んでいないという実態や、措置制度のさらなる活用促進に様々な課題を抱えている現状を鑑み、養護老人ホームのより適切かつ安定的運用を図るため、各市町担当者を対象とした研修会を開催することとなった。保健福祉部の原戸次長は、「措置制度について理解を深め、引き続き適切な措置の実施を行うとともに、老人保護措置費の独自改定に向けた積極的な取組を進めてほしい」と語った。



※本件については、『月刊老施協9月号』特集に掲載予定。
行政の担当者に知ってほしいこと──全国及び栃木県内の養護老人ホームの現状と要望
大山知子会長は、「昨今の格差社会において、支援が必要な高齢者のセーフティーネットである養護老人ホーム。その存続が危ぶまれる状況にある」として、養護老人ホームの現状について語った。令和元年からの6年間で、施設数は951→906、入所率は89.9%→85.1%まで減少。(全国老施協調査)。また、赤字の施設が半数を超える(一般60.3%、特定施設54.8%、福祉医療機構調査)。一方で、老人保護措置費の支弁額改定については、独自改定済みはわずか7.3%、検討・調整中が50.2%、改定の予定なしが37.0%、一般財源化され、色はついていないものの入っているはずの財源である。大山会長は、「改定の予定なしという回答の多さに驚きを隠せない」とし、全国老施協の要望として、①支弁額改定については政府の直接介入を、②施設の大規模修繕等には自治体による施設整備補助の実施を挙げた。
栃木県の現状としては、施設数が令和2年に10施設に減少したままであること、入所率は81.0%と低迷していること、65歳以上の人口が増加する中で措置者数は減少していることなどを報告した。「行政が低所得等の高齢者を生活保護に回してしまうケースが多いが、生活保護には“他法優先”という原則がある。まず、老人福祉法の中で対応できないかを検討していただきたい。措置を必要としている人はもっと多いはず。また、令和8年1月の調査では、独自改定について、大田原市以外、事務費、生活費共に、“対応・改定できるか分からない”という非常に残念な回答であった。これは、我々が地域の高齢者のためにしっかり働く上で必要なこと。ぜひ、過去の累積分“1.44倍”も含めた改定について前向きな検討をお願いしたい。

地方交付税措置による財政支援──総務省
運営費については、普通交付税の基本的な構造として、基準財政需要額と基準財政収入額の差額が交付されるため、必ずその自治体の需要額分は財源として措置されている。また、養護老人ホームの場合は、特別に実際の措置者数×単価で細かく算定されるため、措置者数が増えた分が自治体の持ち出しになるということはない。施設整備費については、三位一体の改革(平成18年度)以降、国の補助金(2分の1)の代わりに、都道府県が施設整備事業債という地方債を100%起債でき、その借金返済は100%交付税措置されるという仕組みができた。結果として、都道府県の補助と社会福祉法人の負担割合は変わらない。これらの仕組みが理解されておらず「措置できない」というケースも聞いている。これらの仕組みをしっかり理解して、財政当局と議論、交渉、また制度の活用をしてほしい。
これまでの地方自治体の意識は「デフレ経済におけるコスト抑制」だったと思われるが、これからは「インフレ基調における適正な価格転嫁」へ変えていかねばならない。

老人保護措置費の支弁額改定に向けて──厚生労働省
養護老人ホームが安定的にサービスを提供していくには、地域の情勢等を踏まえた独自改定が不可欠だが、現状では、それができていない自治体が多い。既出の通知(R8.1.13)や事務連絡(R8.4.9)をいま一度確認し、検討を進めてほしい。具体的には、三位一体の改革(平成18年度)以降、改定を行っていない自治体では、措置費の算入単価の上昇率を踏まえ、1.44倍程度に上げることが適切だといえる。地域よにって様々な事情はあると思うが、養護老人ホームが、「地域の高齢者の暮らしを支える」という機能を継続的に十分に発揮できるよう、自治体の皆様の支援をお願いしたい。都道府県においては、広域的な観点から市町に対し、情報提供などの援助を行ってほしい。本日のような研修会はその大きな一歩となるのではないか。
具体的な手法、施設や老施協などとの連携の方法、具体的な計算例などについては、高齢者支援課でサポートできるので、ぜひ気軽に連絡・相談してほしい。

取材・文=早坂美佐緒(東京コア)/撮影=磯﨑威志
令和8(2026)年度栃木県養護老人ホームの入所措置等に係る市町担当者研修会
▶日時:7月28日(火)14:00〜15:00
▶会場:栃木県総合文化センター(栃木県宇都宮市)
■スケジュール
厚生労働省老健局高齢者支援課 濱本課長
総務省自治財政局調整課 和田課長
全国老施協・栃木県老施協 大山会長
大田原市高齢者幸福課 新井副主幹