キャリアアップ
外国人介護人材の活用 その2 定着率の高め方

介護の現場に必要な「革新」や「確信」や 「核心」をその分野の専門家にうかがいます。

リーダーとしても 活躍する外国人介護人材
特別養護老人ホームや有料老人ホームなどでの外国人介護人材の受入れ状況は二極化しています。地方の施設や小規模事業所では、受入れ自体に踏み切れていないところも少なくない一方、都市部の施設では、常時、多数の外国人スタッフを採用しているところも増えていて、施設運営のためには外国人介護人材の採用が不可欠という状況もみられます。
外国人介護人材の定着についてはさまざまなケースがあり、地域や施設の規模にかかわらず、施設や地域の手厚いサポートを受けて活躍を続けている事例が報告されています。一方、周囲の支援を十分に受けられない場合は、離転職につながる可能性も高くなってきます。
このようななかで目を引くのは、外国人介護人材を積極的に受け入れている施設では、外国人介護人材が定着し、チームリーダーや課長などの管理職に就いて活躍するケースも現れているという事実です。こうした施設では外国人介護人材を単なる労働力としてではなく、長期的なキャリア形成を支援する対象として捉えていることが特徴です。
介護福祉士の国家資格取得を 後押しすることが定着の鍵
介護分野においては、介護福祉士国家資格を取得することが1つの明確な目標となるため、外国人介護人材に対しても国家資格取得支援をすることで、キャリアパスに対しての長期的な展望を示すことができます。すでに施設の中枢として働いている外国人介護人材のなかにも、日本で介護福祉士国家資格を取得し、経験を積むことで、日本人スタッフと同様に活躍している人が多くいます。
しかし外国人介護人材にとって資格取得は容易ではないため、計画的な支援が必要です。手厚い支援体制を整えている施設ほど外国人介護人材の定着率が高く、次の人材を呼び込む好循環が生まれると考えられます。
介護福祉士国家試験を受験した外国人介護人材に対する調査でも、就労施設における学習時間の確保が最も効果的な支援だったという結果が出ています。
ほんとうに「やさしい日本語」を 業務を通して学べる環境を作る
外国人介護人材の定着のためには業務と連動した日本語教育も重要です。「外国人のためのやさしい日本語」と考えると、簡単な言葉に言い換えることばかりにとらわれがちですが、実際には、介護の現場で日常的に使っている言葉こそがなじみのある言葉、すなわち「やさしい」言葉になると考えられます。
「褥瘡」や「移乗」などの難しい専門用語であっても、毎日の業務で使っていれば理解しやすい一方、日常会話で使う言葉でも、なじみがなければ理解するのが難しくなります。
外国人介護人材には、意図していることがしっかりと伝わる言葉を使うことを心がけ、業務のなかで自然に正しい日本語を学べる環境を作ることが、最も効果的な言語教育となります。

多様なキャリアパスを 得る道筋を示す
外国人介護人材のなかには、介護だけでなく、障がい者支援や児童福祉など、さまざまな分野の仕事を経験し、将来に活かしたいと考える人もいます。そこで複合的なサービスを提供する法人であれば、法人内での異動を通じて、積極的にこうしたニーズに応えることが定着につながります。
単に「日本で働く」だけでなく、「日本で学び、成長し、多様なキャリアを手にする」ための道筋を示せるかどうかが重要なポイントになります。
地域ぐるみの支援で 安心な暮らしを提供
地域ぐるみの取り組みも効果的で、単独の施設だけでなく、自治体、業界団体、教育機関などが連携して、外国人介護人材を支援する体制を作り、住居の確保、日本語教育、生活支援など、さまざまな面で地域をあげてサポートすることで、安心して生活し続けられるようになります。
また地域での講演や研修の講師など、施設外での活躍の場を提供することも、モチベーション向上につながります。
外国人介護人材にとって 働きやすい職場は日本人 スタッフにとってもよい環境
高額な費用をかけて採用した人材が短期間で離職してしまうことは、施設にとって大きな損失になるだけではありません。よりよいサービスを提供し、介護業界の未来を形作るために、外国人介護人材の受け入れと定着は重要な取り組みとなります。 できるだけ多くの外国人介護人材に長く働いてもらうためには、外国人だからという理由での昇進制限などはあってはならず、公平で差別がないことはもちろんのこと、外国人にとって働きやすい環境づくりが基本です。外国人介護人材の活躍は、日本人スタッフへのよい刺激になり、組織の多様性を高める契機にもなります。
受入れのきっかけは人手不足であったとしても、外国人介護人材を共に成長するパートナーとして捉え、キャリア支援に真剣に取り組むことが重要です。能力と意欲に応じて活躍できる機会が与えられる環境を作ることは、日本人スタッフにとっても働きやすい職場環境づくりとなり、ひいては介護サービスの質の向上、介護施設や介護業界全体の発展につながります。