福祉施設SX
J Sフェスティバル in山口 誌上レポート9 【実践研究発表】 第3分科会 介護人材戦略の最前線 ~採用・育成・定着を未来につなぐ~

人を育て、組織を強くする介護現場の挑戦

最初の発表は、▶︎介護老人福祉施設 静苑ホーム(北海道/金子里美)。「共に生きる力を育む」では、子どもたちと地域を巻き込み、将来につながる人材育成の土壌づくりを提示。「福祉の種を地域に蒔き、時間をかけて芽を育てていくことが、結果として人材と地域の力を支える」と継続的な取り組みの意義を強調しました。続いて▶︎特別養護老人ホーム エコーが丘(宮城/田端雄大)が「エコーが丘の新たなる挑戦」を通じて、DXや働き方改革による介護の価値向上と人材定着の成果を数値で共有。「生産性向上は介護の価値を高めること」と述べ、創出した時間を根拠あるケアへ還元する姿勢を示しました。3番目は▶︎TOKYOの未来を創る社会福祉法人協力会(東京/片桐恵子)。「複数法人の協働による人材確保事業」では、都内10法人が連携して実施した就職フェアの成果を提示。「一法人では限界がある採用課題も協働することで突破できる」と述べ、直接雇用につながる実践モデルとしての有効性を示しました。前半の締めくくりは▶︎特別養護老人ホームこすもす(石川/水本淳美)。「未来につなぐ生産性向上への一歩」として、ICT活用と業務整理を軸に、人でしかできないケアに力を注ぐための業務再構築と、人材育成を両立させる実践を報告しました。 休憩後は、▶︎特別養護老人ホームゆたか荘(香川/朝倉裕子)が登壇。「誰もが笑顔で働ける職場へ」を掲げ、外国人介護人材の定着支援と安心して働ける体制づくりを紹介しました。続く▶︎社会福祉法人堺福祉会 ハートピア堺(大阪/光永直子)は、「スタッフの気づきをマネジメントする」により、中堅職員の成長と現場力の底上げを具体的に提示。さらに▶︎特別養護老人ホームしおさい(大分/ムハマド スルタン マジド コイルル アディシャフ)は、「日本で働きたい!!」と題し、外国人介護人材のまっすぐな思いと成長の軌跡を熱量そのままに共有。「支えられる側ではなく、共に現場を担う存在として働き続けたい」との言葉が、外国人介護人材を戦力として育てる現場のリアルを浮かび上がらせました。ラストを飾ったのは、▶︎特別養護老人ホーム谷和の里(広島/森末順次)。「Tôi muốn làm việc nhiều hơn(もっと仕事がしたい)」では、外国人介護人材の受け入れと育成の具体策・成果を共有し、人材戦略の実装を印象づけました。 審査の結果、日本で働く意欲と成長を力強く示したしおさいと、未来を見据えた地域連携型人材育成を展開した静苑ホームが奨励賞を獲得。複数法人が連携し大きな成果へつなげたTOKYOの未来を創る社会福祉法人協力会の取り組みが評価され、優秀賞を受賞しました。いずれの発表も、人材不足という課題を“嘆く”のではなく、“つくる・育てる・支え続ける”という前向きな実践として提示した点に大きな意義がありました。
撮影=菓子谷 梨沙、児玉 一成、吉本 博史 取材・文=冨部 志保子、池田 佳寿子、箭本 美帆、濵口 ゆかり