福祉施設SX
J Sフェスティバル in山口 誌上レポート7 【実践研究発表】 第1分科会 分散会2 その人らしさを 支える介護の実践 ~自立支援を主眼とした PDCAの展開~ (LIFE・機能訓練、口腔、栄養)

評価とデータで回す 自立支援の実践

先陣を切ったのは、▶︎特別養護老人ホーム 宏生苑(北海道/後藤卓也)。「LIFE storyと科学的介護」では、科学的介護情報システム「LIFE」のデータとご利用者の語り(ナラティブ)を結び付け、個々人の思いを尊重しながら生活機能維持につなげるケアを再構築した取り組みを発表。職員意識の変化まで含めた成果を提示しました。続いて▶︎盲特別養護老人ホーム和合荘(山形/山川淳司)が、「認知症ケアの肯定感を高めるために」を報告。BPSD・QOL、認知症介護肯定感尺度を用いた評価とフィードバックによって認知症介護に携わる職員の肯定感向上につながったことを示し、「介護の面白さや自信を糧に、意欲が高まる評価や仕掛けを継続する必要がある」と今後の課題を述べました。3番目は▶︎特別養護老人ホームまごころ(群馬/酒井夏実)。「電子化嗜好調査がもたらす食事満足度向上への取り組み」では、従来の紙媒体による嗜好調査の電子化と、AI活用による迅速な対応を実現し、「食べたい気持ちにすぐ応えることが大切」との言葉どおり、食の楽しみを確実に支える体制づくりを数値で示しました。前半の締めくくりは▶︎特別養護老人ホーム梨雲苑(富山/大浦繭子)。「低栄養を防ぐ! 嚥下食の栄養価UPを目指して」では、嚥下の安全性と栄養確保、さらに美味しさまで両立する工夫を重ねた実践を提示。「今後も試作を重ね、美味しさと栄養価を両立させた嚥下食を提供したい」と結びました。 後半は、▶︎特別養護老人ホーム さんさん荘(香川/大堂公輔)が登壇し、「本来の生活リズムを取り戻そう」を通じて、夜間入浴を軸に睡眠や精神面に及ぶ生活全体への好影響を紹介。続く▶︎特別養護老人ホーム清華苑(兵庫/入江知至)は、「データに基づく夜間ケア」により、眠りSCANを活かした科学的アプローチで、夜間ケア改善と職員負担軽減の両立を提示しました。さらに▶︎特別養護老人ホーム青山荘(鹿児島/鮫島友和)は、「『できる』ADLから『している』ADLへ」を掲げ、FIMを用いてADL評価を〝実際の生活場面〟へ結び付ける視点転換を提案。「今後は、現場から個別のケア方法をアウトプットし、FIMを共通言語として、『している』ADLを生活のなかで実現していきたい」と話しました。ラストは▶︎介護老人福祉施設IGLナーシングホームシャレー(広島/竹口 舞)。「排泄ケアでQOLが変わる」では、尿測データを基盤にした排泄ケアの再設計を通じて、自律と快適さが暮らしの質に結び付くことを共有しました。 審査の結果、夜間ケアの質向上と職員負担軽減を両立した清華苑、評価を軸に自立支援の定着を図った青山荘が奨励賞に、食支援をデータとAIで深化させ、即応力と満足度向上を明確に示したまごころが優秀賞に選ばれました。
撮影=菓子谷 梨沙、児玉 一成、吉本 博史 取材・文=冨部 志保子、池田 佳寿子、箭本 美帆、濵口 ゆかり