こころとからだ

健康TIPS

Vol.09 手肌の乾燥

 寒さとともに手肌が荒れる季節になりました。特に手指が荒れていると、施設利用者さんのケアの際に不快な思いをさせてしまうこともあるかもしれません。
 今回は、潤いを保つための注意点やスキンケア法について皮膚科の専門診療も行っている先生に聞きました。


  手肌の乾燥は、冷え性の人や、加齢とともに保湿能力が減少することによって起きやすくなります。特に冬は、気温の低下と空気中の水分の減少が角質層からも水分を奪い、皮脂腺の働きが低下して保湿バリアも薄くなるので注意が必要です。

 乾燥を予防して肌の潤いを回復させるためには、からだの「内側」と「外側」の両方からアプローチすることが肝心です。

 肌の角質層は、皮膚の水分蒸散を防いでバリア機能を高める働きをしています。しかし肌のターンオーバーが乱れると、古い角質が剥がれにくくなることでこれらの働きが低下し、乾燥がより進んでしまいます。

 そこでおすすめしたいのが、からだの「内側」からターンオーバーを促進して保湿力を上げる栄養素を補給すること。ビタミンA・C・E、B2、B6を含む食品、オメガ3やコラーゲンを含む食品を意識して摂取するとよいでしょう。不足しがちな栄養素は、サプリメントで補うのも効果的です。

 からだの「外側」からの予防法は、保湿をメインとしたスキンケアになります。乾燥した手肌に効果の高い成分は「ヘパリン類似物質」や、失われがちな水分を閉じ込める「ナイアシンアミド」、肌を柔らかく保つ「パンテノール」、持続的な保湿効果のある「グリセリン」などです。ドラッグストアなどでも購入可能なので、成分表をよく見て選んでみることをおすすめします。

 また介護従事者の場合、念入りな手洗いやアルコール消毒の回数が多いことで手指が荒れることもありがちです。特にアルコール消毒は、皮膚のバリア機能を剥がしてしまうので、可能であれば少々控えめにしてみましょう。消毒後はすぐにハンドクリームを塗りたいところですが、難しい場合はローションタイプの保湿剤を上手に活用してみるとよいでしょう。

 乾燥肌で手足が冷えやすいという人は、漢方薬の「当帰芍薬散」を服用すると、肌と血の巡りが改善されます。しかし乾燥がひどく、湿疹や出血がある場合は、一度皮膚科を受診してみてください。

取材・文=和場まさみ