こころとからだ
Vol.07 食べすぎトラブル
美味しい作物が収穫期を迎える秋。 酷暑に衰えた食欲が、涼しさとともに回復していく季節でもあります。食欲が増すのはよいことですが、食べすぎは胃腸の不調や体重増加のもとに。
今回は「食欲の秋」の食べすぎ予防法を紹介します 。
脳の奥深くにある視床下部には、食欲を高める摂食中枢と、食欲を抑える満腹中枢があり、空腹になって血糖値が下がると摂食中枢が働き、満腹になると満腹中枢が働きます。
しかし年齢を重ねる毎に、満腹中枢への伝達に10~30分ほどの遅れが生じるため、その間に「食べすぎ」が起きてしまうのです。例えばバイキング形式で食事をしていたら、突然満腹感を覚えて食べられなくなるのは、その典型と言えるでしょう。
食べすぎると消化活動がうまく進まず、胃のなかには食べ物が長い間留まり、胃酸も多く分泌されます。その結果として発現するのが消化不良や胃もたれ、胃痛といった症状です。また、食べすぎて苦しいからと横になり、そのまま眠ってしまうと「逆流性食道炎」を起こし、胸やけの原因にもなってしまいます。
さまざまな胃腸トラブルを招く食べすぎを予防するためには、こうした満腹中枢への伝達の遅れを認識した上で、満腹中枢を刺激する「食べ方」を意識することが重要です。
方法としては、第一に「ゆっくり食べる」こと。そのためには、食べ物を「よく噛む」ことが必要です。ひと口につき30回ほど咀嚼をすると、満腹中枢が刺激されます。家族や友人と会話を楽しみながら食事をすると、食べるスピードもゆっくりになるでしょう。ひとりで食事をする機会の多い人は、テレビや雑誌を見ながらの「ながら食べ」をすると早食い防止になります。
食べすぎは、食べる順番でも予防することができます。野菜や海藻類など低カロリーで容量のある食材を最初に食べると、食欲抑制と血糖値コントロールに効果的です。
また、脂っこい食事の後にブラックコーヒーを飲むのも効果的。胃壁に付着した油分を掃除して胃酸の分泌を活発にしてくれます。
仕事柄、食事を抜くこともあると思いますが、お腹のすきすぎは「ドカ食い」につながる恐れがあります。多忙でも三食きちんと食べる時間をつくることが、食べすぎ予防の基本と言えるでしょう。
取材・文=和場まさみ