こころとからだ

健康TIPS

Vol.06 天気頭痛

 台風シーズンや雨が降る前に、ズキズキと頭が痛む「天気頭痛」。低気圧が外的ストレスとなって自律神経の乱れを誘発、症状を引き起こすと言われています。
 今回は東洋医学の観点から、天気頭痛の予防法を考えてみました。


 東洋医学では、体質を「実証」と「虚証」に分けて考えることが基本になっています。実証タイプは生命力自然治癒力が高く、あらゆるストレスと闘う力が備わっているのに対し、虚証タイプはそれらが不足しているために疲れやすく、ストレスがかかると変調が出やすいという傾向にあります。

 台風前や降雨前に頭が痛くなる「天気頭痛」の人は、低気圧がストレスとなって全身の恒常が維持できなくなるという虚証タイプが多いようです。他にも体の重だるさ、胃腸の不調、気分の落ち込み、むくみ、動悸といった、いわゆる自律神経失調の症状を伴うことも多く、こうした気圧の変化による不調は「気象病」とも呼ばれています。

 虚証の原因はさまざまですが、総じて言えるのは血液や体液の循環が悪いために、体内に過剰な水分が溜まりやすいということ。つまり、全身の循環を改善して体内の水はけをよくすることが、天気頭痛の予防と改善につながるわけです。

 こうした気圧の変化による循環不良や体内の水はけをよくしてくれるのが、漢方薬の「五苓散」です。体力に関わらず使用できて即効性があるため、症状が出始めたタイミングで、または痛みが起こる予兆がしたら服用することがすすめられています。また、めまいやふらつきを伴う場合は「苓桂朮甘湯」、日頃からストレスに弱い人は「呉茱萸湯」、夏場だけ頭痛がする人は「半夏白朮天麻湯」、下肢のむくみが常に気になっている人は「防己黄耆湯」を併せて服用するとより効果的です。漢方薬は、ドラッグストアで購入しても十分ですが、オンライン診療などを利用してクリニックで処方してもらうのもよいでしょう。

 日常生活において、循環や水分代謝をよくする工夫も大事です。週2回程度の運動(散歩・腹筋・スクワット・腕立て伏せ)と十分な睡眠を基本に、水分代謝に効果的な豆類・海藻類・うり類の温かいスープ、体力をつけるたんぱく質類と野菜類をバランスよく食べるよう心がけてください。また台風シーズンは特に、代謝を妨げる食肉加工品や白砂糖(スイーツ類)は避けたほうがよいでしょう。

取材・文=和場まさみ