こころとからだ

健康TIPS

Vol.05 高齢者の 夏バテ予防

 夏バテの主な原因は脱水と栄養不足、そして外気の暑さと室内のクーラーによる温度差で起こる自律神経失調症です。特に高齢者は症状が発現しにくいため、気づいた時には重症化しているケースも。
 今回はそんな高齢者のための夏バテ予防法を紹介します。


 高齢者の夏バテと密接な関係にあるのが「筋肉量」です。筋肉は、体内に水分をためておく役割を担っています。しかし一日の大半を座って過ごしていたり、寝たきりや車椅子生活を送っている場合、体を動かさないことで筋肉量が減少し、夏バテにつきものの脱水症状を起こしやすくなってしまうのです。

 また筋肉量の減少は、体力の衰えや血流の悪化、代謝や免疫力の低下にもつながります。高齢者が喉の渇きや発汗、体の冷え、感覚の低下といった夏バテ特有の症状を自覚しにくいのは、こうした体の機能の衰えによるものだと言えるでしょう。  高齢者の夏バテを重症化させないためにまず必要なのが、健康状態のチェック。暑い時期は【夏バテのサイン】を参考に、日頃の確認をこまめにすることが肝心です。

 夏バテ症状のなかでも、特に注意したいのが「脱水」です。水分補給は、汗をかいた後や喉がカラカラに渇いてしまった後ではあまり効果はありません。喉の渇きがなくとも1~2時間毎にコップ1杯の水をこまめに飲む習慣をつけるのが得策です。

 また高齢者の場合は、冷房のきいた室内で長時間過ごすと自律神経が乱れ、「冷えバテ」を起こしがちです。エアコンの設定温度は室内の人数を見ながら26~28℃で調節し、一部の窓を常に開けておくと冷えすぎを予防することができます。ちなみにエアコンの設定温度=室温ではありませんので、各所に温度計を設置して室温も26~28℃になっていることを確認することが重要です。

 夏バテ予防のためには、ビタミンB1、ミネラル、クエン酸を含む食べ物や飲み物がよいとされています。うなぎ、豚肉、ブロッコリー、魚介類などにはビタミンB1が豊富に含まれているので、ぜひメニューに取り入れたいものです。クエン酸はレモンや梅干しに多く含まれています。特に梅干しはミネラルである塩分も補給できるのでおすすめです。食事だけで補えない場合は、熱中症に効く「清暑益気湯」や高齢者のだるさや食欲不振によい「補中益気湯」といった漢方薬の服用も効果的です。

取材・文=和場まさみ