こころとからだ
Vol.04 食中毒
高温多湿な時期に注意したいのが、細菌やウイルスが付着した食べ物によって発生する食中毒。60歳以上で感染率が急増し、症状の発現が遅い高齢者の場合は特に注意が必要です。
調理や食事提供の際にできる予防法を、しっかりと頭に入れておきましょう。
食中毒を起こす主な原因菌は、O︲157などの「細菌性」、ノロウイルスなどの「ウイルス性」、そしてアニサキスなどの「寄生虫」に分類されます。
このうち、6~8月の夏場で特に注意したいのが高温多湿な環境で繁殖する細菌性の食中毒です。多くの細菌は湿気を好み、約20℃の室温で活発に増殖しはじめて、人間の体温ぐらいの温度で増殖のスピードが最も速くなります。
なかでも一般的なのが、皮膚の常在菌である「黄色ブドウ球菌」による食中毒です。手指の傷や絆創膏の下で増殖し、それが食材に付着すると3時間前後で急激な嘔吐や吐き気、下痢が引き起こされます。また生肉全般にはカンピロバクターやサルモネラ菌など数種類の菌が付着している他、野菜類には土壌にいるセレウス菌やウエルシュ菌、魚介類には寄生虫に分類されるアニサキスが付着していることがあります。食中毒=ノロウイルスと思いがちですが、実はあらゆる食材に隠れた菌が数多く存在しているのです。
こうした細菌や寄生虫による食中毒を予防するためには「菌を食べ物につけない」「食べ物に付着した菌を増やさない」「食べ物や調理器具に付着した細菌をやっつける」の3つを心がけることが重要です。
菌を「つけない」ためには調理前、調理中、食事提供、食事介助のいずれの場合も、指の間や手の甲までしっかりと洗うこと。手指に傷がある時は、調理時や食事介助時にビニール手袋を装着すると食材への菌の付着を防ぐことができます。
菌を「増やさない」ためには、食材を低温で保存すること。ほとんどの細菌はマイナス15℃で増殖が停止するので、すぐに使用しない場合は冷蔵よりも冷凍保存がおすすめです。
菌を「やっつける」のは、加熱処理です。ほとんどの細菌は加熱によって死滅するので、肉や魚はもちろん、野菜なども加熱して食べればより安全でしょう。さらに、ふきんやまな板、包丁などの調理器具も、よく洗ってから熱湯で殺菌しておけば万全です。
取材・文=和場まさみ