福祉施設SX

特集

第3回 全国老人福祉施設大会・研究会議 JSフェスティバル 誌上レポート② ロボット・ICTシンポジウム

ICT機器を活用した介護現場の生産性向上の未来とは?

 ケアコネクトジャパンの山梨氏は、まず趣味のイカ釣りを例にICT化による生産性向上のメリットを説明し、会場の雰囲気を和ませた後、同社の介護ソフト「ケアカルテ」と、音声入力ができるAIアプリ「ハナスト」の施設での活用シーンを動画で紹介。「この二つの連携使用で、介護業務を行いながら介護中の会話をそのまま記録でき、介護日誌作成の負担を軽減できます」。さらに昨秋リリースしたチャットアプリ「ケアコネ」を利用することで「ご入居者に関わる複数人でのグループチャットが可能となり、日勤と夜勤の職員間での申し送りなども簡便に行うことができます」。こうした現状のテクノロジーを利用し、近い将来には蓄積された介護記録を生かした情報共有モニターの開発も可能だと話しました。

 続いて、キヤノンシステムアンドサポートの岡氏は「介護福祉事業者に向けた専任組織を構築してからの3年間で、約500施設のICT化を支援しています」と切り出し、「キヤノンは施設の課題を理解して共感するために、現場に学ぶことを活動の原点としています」と紹介。販売するだけではなく機器導入に伴う補助金情報の確認や導入後のトラブル対応など前後のサポートに注力しているとし、多様なメーカーの機器やソフトウェアも一つの窓口で対応できるのが自社の強みと述べました。  二人の話を聞き、全国老施協の山田氏は「我々は一生懸命な業界。そのなかで介護職員が一生懸命に記録することが凄まじい負担となり、限界に達しつつある。今日の話は業界の今後の光となる内容」と考察。同じく全国老施協の岩井氏も「現場は待ったなし。各施設、できるところからスタートしないと取り残されてしまう。危機感をもってICTやDXを推進してほしい」と語りました。最後に、司会を務めた全国老施協の鈴木氏は「我々は仲間を大事にする団体。本日の内容をぜひ各法人で共有し、今後のICT化に役立てていただければ」と呼びかけました。

撮影=本田真康 取材・文=池田佳寿子