福祉施設SX
大山知子会長 新年のごあいさつ 〜会員一人ひとりの力を高めて、 組織全体の底上げを〜
介護報酬改定から人手不足、物価高騰、災害支援まで。
さまざまな課題に立ち向かうためには、組織の力が大切であることを実感した2024年。
それは同時に組織のもつ可能性や影響力に新たな希望を見出すことにもつながりました。
昨年の経験を踏まえて、2025年はどのように組織を強くし、発信力を高めていくかを伺いました。
災害を通じて老施協ならではの 組織の力を再認識した2024年
昨年は1月1日の能登半島地震の直後に迅速に災害対策本部を立ち上げ、被災施設への職員派遣支援を行ってきました。発災から1年が経ちましたが、まだ応援派遣が必要な施設があり、全国老施協は支援を続けています。ご協力いただいた会員施設の皆さまに、心より感謝申し上げますとともに、現在に至るまで息の長い支援を継続できる組織であることに誇りと自負を抱いております。
災害時の支援にはさまざまな形があります。全国からの寄付金や支援物資など、被災して何もないときに手を差し伸べてくれる援助は非常にありがたいものです。でもそれだけではなく、被災した私たちの仲間の施設に実際に出向き、ともに手や足を動かすことによって被災した施設の職員やご利用者の心に寄り添い、支えとなっていることがわかり、職員応援派遣の大切さを今回改めて痛感しました。
それぞれの会員施設が人手不足でご苦労されている中で「時間」と「労力」と「スピード感」という支援に必要な3つの要素を実現できたのも、全国老施協という組織の力があればこそだと思います。こうした組織力をさらに高めていくために、加入してくださる会員を増やし、さらに個々の会員施設の意識を高める他、スピードを意識した情報の共有、種別に特化した専門性の高い相談窓口、経営力、そして会員同士の繋がりを強めるためのアクションを起こし、組織全体の力を底上げしていきたい。それが2025年の目標の一つです。
組織をさらに強くして、 内外への発信力、影響力を高める
昨年の「第3回 全国老人福祉施設大会・研究会議 〜JSフェスティバル in 滋賀〜」でも、同じ仕事、同じ目標をもつ方同士がともに悩みを分かち合い、それをどう克服しているかを学び、解決の糸口を見つけたいと思っているかを強く実感しました。だからこそあれだけ多くの人数が集結したのではないでしょうか。次の大会では、さらに皆さまのご期待に添えるように、事前に協議を重ね多数のプログラムを組み立てたいと思っています。
集まる人数が多ければ、それだけ情報も多くなり、ネットワークも広がります。研究者や行政、他組織、他業界からの関心も高まり、全国老施協からの発信力、影響力も大きくなります。これもまた組織の重要な側面であると考え、この点でも組織力の強化に努めていきたいと考えています。
情緒的な側面を持つ介護職の実情を 言語化、数値化して行政に進言
私は介護職とは感情労働であると思っています。ロボットもICTもこれからの介護現場には不可欠ですが、介護とは「楽しい」「おいしい」「気持ちがよい」など、ご利用者の情緒的な部分を大切にし、「うれしい」「かなしい」など感情的な部分と上手に関わるノウハウをもってはじめてよいケアができます。また、介護には人権や尊厳を尊重する総合的な人間力が必要になる仕事です。
しかし、諸課題で行政と向き合うときには、エビデンスを出さないとなりません。情緒的な介護の仕事を数値化して伝えるのは非常に難しいことではありますが、介護職の専門性の認知度を高め、より魅力ある職場環境を実現するために行政に働きかけ、制度制策まで踏み込み、スピード感をもって訴えていくことは、2025年の私の大事な仕事だと思っています。
明るく前向きに課題に向き合えるように 自らの感性も磨きたい
ご利用者に少しでも活力を得ていただくために、介護の情緒的な側面を大切にし、職員には明るい気持ちで働いてほしい。私個人はカラーセラピーを学んだ経験もあり、高齢者がカラフルな服に関心をもったり、色のもつ力が人の情緒や感情によい影響を与えることを知り、実際に目の当たりにしました。 暗いニュースや頭の痛い問題が多い昨今ではありますが、好きな色や美しい花、よい香りなどを取り入れて、介護職ならではの感性も磨いて、あらゆる課題に前向きに取り組んでいきたいと思っています。