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介護情報基盤の稼働に向けた支援と課題
#介護情報基盤 #介護事業者・医療機関への財政支援
厚生労働省は9月19日、第114回社会保障審議会・介護保険部会(部会長=菊池馨実・早稲田大理事)で、利用者の情報を介護事業所や医療機関、自治体で共有する「介護情報基盤」の稼働に向けた支援方針を示した。介護事業者には、マイナンバーカードを読み取る機器やセキュリティー対策ソフトの導入を支援することが盛り込まれている。これにより、介護情報基盤に登録した事業者は、資格確認等WEBサービスを通じてケアプランやLIFE(科学的介護情報システム)の情報を提出し、利用者の保険証や要介護認定情報を閲覧できるようになる。
また、医療機関も担当する患者の情報を介護の資格確認サービス経由で閲覧できるよう、必要な経費を補助する。主治医意見書を自治体にオンライン資格確認等システムを通じて直接提出するため、電子カルテや文書作成ソフトに新機能を搭載する費用も支援対象となる。
介護情報基盤の稼働初期からできるだけ多くの事業者が参加することが求められており、厚労省の支援方針には大半の委員が賛同した。しかし、特に小規模事業者への支援については、ICT機器の専門家による助言やサポートが必要との意見も複数出された。
一方、佐藤主光委員(一橋大国際・公共政策大学院教授)は、支援に必要な財源について質問し、厚労省は「今後の予算編成過程で調整していく」と回答した。さらに、東憲太郎委員(全国老人保健施設協会長)は、地域医療介護総合確保基金の運用では不十分であると指摘し、都道府県による支給状況のばらつきを理由に、一律の支給方法が望ましいと主張した。
介護情報基盤は2026年度の稼働を目指しているが、厚労省が実施した自治体の情報システム移行状況調査では、回答した1055自治体の半数以上が2025年度末までの移行が「困難」であると答えている。特に政令指定都市など人口の多い自治体ほどその傾向が強いことがわかった。
厚労省は、大規模自治体ほど情報基盤の導入により要介護認定事務の効率化が期待されていることを強調しており、今後は自治体の移行状況を見極めながら、稼働に向けたスケジュールを慎重に検討していく方針だ。