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2040年に向けた医療提供体制の道筋を明確に 森光医政局長の抱負
#地域医療の在り方 #在宅医療の課題
厚生労働省の医政局長に就任した森光敬子氏は7月29日、専門紙の共同取材で高齢者人口がピークを迎える2040年に向けて、「課題と解決の道筋が見えるようにしたい」との抱負を述べた。医政局の各種施策・検討会で個々の課題に対応しつつ、2040年の医療提供体制という大きなテーマに集約できるよう、「医政局全体を一つにまとめていきたい」と強調した。
医政局は「新たな地域医療構想等に関する検討会」を開催しており、2040年ごろを見据えた在宅医療や介護を含めた地域医療の在り方について有識者に議論を求めている。森氏は「現段階で医療提供体制には多くの課題があるが、2040年にはさらにひび割れして大きくなっている可能性がある」と見通しを示した。そのため、現行の課題を「もう少し詳細に分析しないといけない」と述べた。
具体的には、在宅医療や救急体制の課題に言及。在宅医療については、「単に推進ではなく、そのための課題が何で、どのような対応が必要かしっかり考える」べきだと指摘した。在宅医療や介護は、「救急体制などの支えがなければ安心してできない」とし、現在の医療体制が適切か、誰がどの役割を担うべきかを一つ一つ分析していく必要があると強調した。
これまでの検討会の議論では「医療内容の分析」が十分でなかったとの認識も示し、急性期や慢性期の入院率などの数字にとどまらず、医療の内容にまで踏み込まなければ地域医療を支えられないと危機感を示した。特に85歳以上を対象とした医療について、「認知症や在宅医療だけでなく、どのようなことを考える必要があるか、もう少し分析して踏み込んでいかないといけない」と主張した。
医療の質を担保しつつ、人材や資源を効率的に活用する「コンパクト化」も必要とし、在宅医療については患者一人一人に合った形で提供できる体制の構築を模索する意向を示した。
また、来年4月から始まるかかりつけ医機能報告制度に向けて、「かかりつけ医機能が発揮される制度の施行に関する分科会」が7月19日に報告書をまとめた。森氏は「しっかりまとまった」と評価する一方で、「患者さんに利用してもらう視点が必要」と強調し、機能確保のための研修内容の整理と並行して、国民に分かりやすく制度を知らせる広報活動も重要な柱になると述べた。