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〈福祉医療機構〉
介護医療院の経営状況は年々悪化、4割弱が赤字に
JS-Weekly No.905
#介護医療院 #赤字 #経営状況
実利用者数は増加したものの、人件費など事業費用の増加で赤字に
福祉医療機構は11月15日までに、令和4年度の介護医療院の経営状況に関するリポートを公表し、106施設のうち37.7%が⾚字だったと明らかにした。赤字割合は、令和3年度(85施設)の31.8%から5.9ポイント上昇し、調査を始めた令和元年度以降で最も高くなった。
収益をみると、利⽤者単価は307円、実利⽤者数は2.9⼈といずれも増加。1施設当たりの事業収益も5万8177円増加している。⼀⽅、⽀出をみると、医療材料費率が0.6ポイント、⽔道光熱費率などの経費率が1ポイント上昇した。⼈件費率は0.5ポイント低下したものの、従事者一人当たりの人件費は35.8万円増えた。福祉医療機構では、事業費⽤の増加が増収分を上回り、経営状況の悪化につながったとみている。
人件費率が75.0%以上、入所利用率が91.2%以下の赤字施設は改善の余地あり
開設年度でみると、令和2年度を境目として、直近に開設した施設の経営状況が悪い傾向にある。また、令和3年、令和4年度でデータがそろっている計60施設を対象に⾏った介護医療院の類型別の分析では、重篤な⾝体疾患がある⾼齢者を受け⼊れる「I型」(41施設)に⽐べ、⽐較的容体が安定した⾼齢者の受け⽫となる「II型」(19施設)の経営が特に厳しいことが分かった。
黒字施設と赤字施設を比較すると、黒字施設は赤字施設よりも定員数が多く、人件費率は赤字施設の方が黒字施設よりも高い。福祉医療機構では、人件費率が75.0%以上、あるいは入所利用率が91.2%以下の赤字施設は、改善の余地ありと指摘。経営改善のためには、利用者の確保(平均入所者利用率の91.2%を目指す)に向けた取り組みを行うとともに、人件費率を抑えることで黒字化することも可能とした。
なお、本リポートは、福祉医療機構が融資する介護医療院106施設の経営状況を分析している。サンプル数が少ないため、全国の介護医療院の状況を必ずしも反映していない可能性があるとしている。