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速報(JS-Weekly)

〈厚生労働省〉

第224回介護給付費分科会、令和6年度介護報酬改定に向けて意見

JS-Weekly No.896

#介護報酬改定 #業務継続 #高齢者虐待 #地域区分

 厚生労働省は9月15日、「第224回社会保障審議会介護給付費分科会」を開催した。協議事項は以下の通り。

1.令和6年度介護報酬改定に向けて

  • 地域包括ケアシステムの深化・推進(感染症への対応力強化・業務継続に向けた取組の深化・推進)
  • 自立支援・重度化防止を重視した質の高い介護サービスの推進(口腔・栄養)
  • 制度の安定性・持続可能性の確保
  • その他

2.新型コロナウイルス感染症の退院患者受け入れに係る特例的な評価

古谷参与、「感染症への対応力強化」「業務継続に向けた取組の強化等」「口腔・栄養」 「制度の安定性・持続可能性の確保」 「高齢者虐待の防止/介護現場における安全性の確保、リスクマネジメント」 「地域区分」について意見

  1. 感染症への対応力強化について
     介護報酬上の臨時的な取扱いについては、第216回介護給付費分科会で示された見直しの方向性に沿って対応し、今後の感染状況に応じて迅速に取扱いの検討を進めることが重要である。
     しかし、感染拡大防止のためには、利用者や従事者にコロナ患者等が発生した場合に人員基準違反・減算としないことについても継続することが重要である。
     本人及び同居家族が感染し又は接触した場合の行動制限の考え方、特に在宅サービス利用者の利用制限の考え方、事業所から通達する職員の勤務制限の考え方、対面での面会を求められた場合の対応方法など、円滑な運用となるよう周知・徹底をお願いする。
     また、医療提供体制について、入院をスムーズに受け入れていただける医療提供体制の確保を強くお願いする。
     併せて、新型コロナウイルス感染症に関する高齢者施設に対する支援等についても、平時の感染症対応の研修や、感染症発生時の業務継続計画の状況に合わせた見直し、発生時の速やかな医療連携、かかりまし経費の支援、施設内療養を行う施設等への支援について、継続をお願いする。
  2. 業務継続に向けた取組の強化等について
     業務継続に向けた計画の策定については、確実に行えるよう策定の進め方についてさらなる支援を行うことが必要である。
     また、災害の傾向についての情報提供を適切に行い、感染症の情報をタイムリーに発信することで危機管理意識の向上や、高齢者施設等の防災・減災対策を支援するための施策の拡大を図る必要がある。
  3. 口腔・栄養について
     口腔ケアに関連する加算へのインセンティブの強化が必要と考える。
     在宅・高齢者施設・医療機関での連携強化のためには、栄養に関する情報を共有するツールの作成が有効と考えます。
     また、リハビリテーション機能訓練と口腔と栄養の一体的な取組は、誤嚥性肺炎の発生予防やQOLの向上等に成果があると考える。個々の評価に加え、一体としての取組の評価が必要である。
  4. 制度の安定性・持続可能性の確保について
     複雑化した現行の報酬体系を簡素化して国民にわかりやすくすることは、国民の共同連帯の理念に基づき創設された介護保険制度の持続のために必要であり、強力に進めるべきである。ただし、算定率が高い加算を基本報酬に含めるにあたっては、基本報酬に当該加算単位をそのまま上乗せするとともに、その旨を明示するなど、誰が見てもわかりやすい見直しとなるようお願いする。
     また、算定率が低い加算については、単純に廃止するのではなく、なぜ低いのか原因を分析し、その原因別に対応の検討が必要と考える。
     加算の趣旨から対象者が少なくても残すべきものや、要件を見直したうえで存続させるべきものなどを見極めながら丁寧な議論が必要である。
  5. 高齢者虐待の防止/介護現場における安全性の確保、リスクマネジメントについて
     虐待防止を図るべき様々な施策が確実に実施されるように、更なる支援や周知を進めることが重要である。
     虐待防止において、介護施設従事者には、認知症や介護についての知識を深めることとともに、介護業務への負担軽減を図ること、養護者においても、いつでも適切な介護サービスを受けられる体制であることが重要であると考える。
     また、介護現場の安全性の管理は、厚生労働省が示す事故報告標準様式を使用し、集めたデータを活用して事故の背景の考察を行い、フィードバックすることで、事故防止対策への対応を進めることが必要である。
  6. 地域区分について
     地域区分については、慎重な協議のもとに決定していただきたい。
     地域区分の設定は、実情を考慮するとともに公平性をもって進めることが重要であり、検討にあたっては、モデル的な基準上の施設の人件費率、経費率を示した上で行うことが大切であると考える。

参考資料