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速報(JS-Weekly)

〈東京商工リサーチ〉

訪問介護事業者の倒産が急増、過去最多ペース

JS-Weekly No.896

#訪問介護事業者 #倒産

価格競争激化でヘルパー不足が深刻、物価高も追い打ち

 東京商工リサーチが9月15日に公表した調査によると、令和5年1月から8月までの訪問介護事業者の倒産件数が44件となったことが分かった。前年同期(30件)のおよそ1.5倍で、コロナ禍で倒産が増えた令和2年の42件を上回るペースで急増。調査を開始した平成12年以降の同期間で、過去最多を更新した。老人福祉・介護事業者で倒産増が目立つのは訪問介護事業所のみで、ヘルパー不足や物価高が追い打ちをかけているとみられる。

 倒産の原因をみると、「販売不振(売上不振)」が33件と全体の7割強を占めた。次いで、「その他(偶発的原因)」が4件、「運転資金の欠乏」3件と続く。

 負債額別では、1000万円以上5000万円未満が34件(構成比77.2%)と最多。続いて、5000万円以上1億円未満が6件(同13.6%)と小・零細規模の倒産が9割を占めた。10億円以上の大型倒産はなかった。

 厚生労働省によると、令和4年度のヘルパーの有効求人倍率は15.5倍と過去最高を記録。人材の獲得競争も激化し、ヘルパーの人手不足が深刻さを増している。65歳以上のヘルパーが4人に1人(24.4%)と高齢化も進んでいる。訪問介護事業者では法定価格である介護報酬が主な収入源のため、物価高への対応や価格転嫁も難しい。コロナ関連の支援の効果が薄れてきているのも要因の一つとみられる。このペースで推移すると、年間(1〜12月)倒産件数の最多を記録した令和元年の58件を上回る可能性もある。

参考資料