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〈厚生労働省〉
第215回介護給付費分科会、介護報酬改定の効果検証および調査研究に係る調査結果等について議論
JS-Weekly No.871
#介護報酬改定 #結果報告
厚生労働省は3月16日、第215回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。協議事項は下記の通り。
- 令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和4年度調査)の結果について
- 令和4年度介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会の結果について(報告)
- その他
古谷参与、「令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和4年度調査)の結果」について意見
全国老施協から委員として出席した古谷忠之参与は、下記の意見を述べた。
「介護保険施設のリスクマネジメントに関する調査研究事業」について
令和3年度介護報酬改定では、安全対策に係る体制評価、事故報告の標準様式化を行い、事故内容の実態把握や分析結果を介護現場にフィードバックして、日常のケアに生かすことが期待されている。 本事業から、安全対策担当者の配置状況や事故防止マニュアル等の整備状況、事故防止委員会の状況等が分かり、約7割の特養で加算が算定されている。今後、全ての施設で加算が取得できるよう促進を図る必要がある。一方、事故報告の集計分析結果についてのフィードバックが進まない状況がある。今後、事故件数のみならず、事故起因等の分析も併せて再発防止に向けたフィードバックが重要である。
「介護保険施設における医療及び介護サービスの提供実態等に関する調査研究事業」について
施設における個別機能訓練の実施、口腔衛生管理体制、栄養マネジメントの実施状況等が明らかになり、専門職の関わりで一定の成果があったと考えられる。また、多職種との連携が進んでいることも考察できる。リハビリ、口腔、栄養は一体的に行うことでより成果が上がるため、一体として行ったときに加算等の報酬で評価するなどのインセンティブの検討をお願いしたい。
「介護現場でのテクノロジー活用に関する調査研究事業」について
介護現場でのテクノロジーの活用は不可欠である。入所・泊まり・居住系サービスにおける見守り支援機器等の導入の効果として、職員の精神的・肉体的負担の軽減、業務の効率化、ケアの質の向上等が挙げられている。一方で、夜勤職員配置加算の算定状況のうち、テクノロジー活用による基準緩和はメリットが薄く、テクノロジー導入促進の呼び水になっているとは言い難い。テクノロジーの活用を推進し、業務の効率化やケアの質の向上を進めるためにも、まず導入を進め、好事例を共有することが重要である。導入が進まない理由が、導入コストの負担とされていることからも、導入費用の補助や加算等によるインセンティブの検討をお願いしたい。
その他、各委員から以下の意見が述べられた(一部抜粋)。
- 介護ロボット/ICTの導入について導入費用が負担と考える事業所が多い。全ての事業所で導入が進むように介護報酬上でさらなる評価をする制度の導入を検討いただきたい。
- LIFEの推進は介護の質の向上に不可欠であるが、4分の1程度の事業所で活用されていない。入力の負担やデータの活用方法が不明瞭といった現場の意見に迅速に対応して、LIFEを活用した介護を行える体制の整備を優先すべきである。
- 事故が発出した際の要因の分析、フィードバックにより市区町村内の事業者の再発防止につなげるだけではなく、データを事故情報について詳細に分析し在宅も含めた全国の介護事業者が共有できる仕組みを構築することで、リスクアセスメントの視点で事故の未然防止に有効活用できるのではないか。
- 誤飲による死亡事例に関して施設に対して賠償判決が出たこともあり、世間一般の認識が、「介護事業所で起きた事故=事業所の責任」となることを危惧している。介護事故の中でも転倒は自宅の場合は自己責任だが、事業所の場合は事業所の責任と考えることが多い。行政に提出された事故の原因等の分析も必要であるが、「事故」という用語の使い方を検討していく必要がある。