最新制度解説

速報(JS-Weekly)

〈厚生労働省〉

第214回介護給付費分科会、介護報酬の届出等について指定の標準様式で原則電子化を了承

JS-Weekly No.867

#標準様式 #電子システム #告示

標準様式例電子申請・届出システムなどについて諮問

 厚生労働省は2月20⽇、第214回社会保障審議会介護給付費分科会を開催した。協議事項は下記の通り。

  1. 標準様式例および「電子申請・届出システム」の使用の基本原則化に係る諮問について
  2. 令和4年度介護事業経営概況調査の結果について
  3. 令和5年度介護事業経営実態調査の実施について
  4. 介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目の在り方検討会におけるこれまでの議論の整理について(報告)

 今会議から、新たな分科会長に国立社会保障・人口問題研究所所長の田辺国昭氏が就任した。田中滋前分科会長(埼玉県立大学理事)は任期満了で1月に退任している。

古谷参与が調査票の物価高騰対策や特別損失の項目などに要検討の意見を述べる

 全国老施協の古谷忠之参与は次のような意見を述べた。

電子申請・届出システム」について

システムを利用した申請届出に関しては、文書負担の軽減の観点からも進めていただきたい。
システム導入に際し、各種申請届出様式の簡素化を行うことや操作のしやすいシステムの構築について重ねてご検討をお願いしたい。

「令和5年度介護事業経営実態調査」の調査票について
  1. 物価高騰対策に関する項目について
    調査項目(案)に、「電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金」等による支援を受けている場合の物価高騰対策関連の補助金の欄が追加されているが、この補助金は、全国一律ではなく都道府県・市区町村の裁量に委ねられているため、地域差が非常に大きく、全国老施協の調査によれば、特養では1施設あたりの支援見込み額(年間)は、最大568万円、最小で6万円と大きな差異が生じている。収支差等の集計に関しては、その点を考慮する必要がある。
  2. 特別損失に関する項目について
    調査項目(案)に、特別収益の内訳が新たに追加されているが、本部からの繰入金を含む施設の特別収益は、運営費に含めるべきでない施設整備費に対する補助金収入等が含まれ、その額は決して小さくない。これらは介護報酬とは無関係であり、かつ巨額であるため、これを収支差に算入すれば、施設の経営実態を正しく表さないことは明らかであり、介護報酬の水準の参考とするには極めて不適切であることを指摘しておきたい。

 また、古谷参与はこの日の会議で、「令和5年度も物価高騰の傾向は続くと思われるが、本調査とは別に令和5年度において物価高騰の状況を把握する調査・研究等の予定があるかご教示いただきたい」と質問した。

 これに対し、厚生労働省は「検討したいが、本日報告している各種調査において事業運営にかかる光熱水費等の費用を把握してきているため、そういったものをベースにしっかり把握をしていきたい」と回答した。

 その他、各委員からは、以下のような意見が述べられた。(一部抜粋)

  • 届出は担当職員にとっては責任重大である。そのため、届書等が届いたことを知らせるメールの導入や直接持参したい職員への対応をお願いしたい。
  • システムエラー等が発生することを前提とした対応が必要である。
  • 電子申請・届出システムがどの程度文書負担軽減に繋がっているか見ていくなど、フォローアップ等を通じて実効性のあるものにしていく必要がある。
  • 物価高騰の影響を受けていない状態でも通所リハ通所介護の5割、特養・老健でも4割が赤字である。物価高騰の影響もある中、存続していけるのか、介護提供体制が崩壊していくのではないかと危惧をしている。方策を今後考えていく必要がある。
  • 介護事業経営実態調査の回答率が低い状態が続いている。介護サービスの費用は現役世代や高齢者の保険料、税金、利用料で賄われていることを考えると、回答率が低い調査を基に介護報酬改定を議論するのは問題があるように思う。次回調査では未回答理由が明らかになることを期待したい。
  • 福祉用具の選定にあたっては医療職の関与が必要となる。また貸与・販売の在り方については利用者本人の意見を取り入れる仕組み作りが重要である。

 この日の分科会で、介護事業所による介護給付費の算定等に係る届け出について、厚⽣労働省が指定する標準様式で⾏うとともに、「電⼦申請・届出システム」の使用を原則とする告示・省令の改正内容が了承された。厚労省は3⽉下旬に告⽰し、令和6年4⽉から適⽤する方針。

参考資料