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速報(JS-Weekly)

〈厚生労働省〉

養介護施設の職員による高齢者虐待、739件で過去最多 虐待者の約8割は介護職

JS-Weekly No.861

#令和3年度高齢者虐待調査結果 #身体拘束

虐待の約半数を身体的虐待が占め、そのうち約24%は「身体拘束あり」

 厚生労働省は12月23日、「令和3年度『高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律』に基づく対応状況等に関する調査結果」を公表した。この調査は、全国の都道府県および市町村(特別区を含む)で行われた高齢者虐待への対応状況等をまとめたものである。

 調査結果のうち養介護施設の職員によるものでは、市町村で受け付けた相談・通報件数は2390件(前年度比14.0%増)、都道府県で受け付けたものは15件(前年度比37.5%減)であった。このうち、職員による虐待と判断されたケースは739件(前年度比24.2%増)で、過去最多となったことが分かった。また、虐待を受けたと確認された高齢者(1366人)のうち、約7割が「女性」であった。内訳は次の通り。

  • 相談・通報者…「当該施設職員」が29.8%で最も多く、次いで「当該施設管理者等」が16.3%、「家族・親族」が13.2%、「当該施設元職員」が9.0%の順。「本人による届出」は1.7%。
  • 虐待の種別(複数回答)…「身体的虐待」が51.5%で最も多く、このうち「身体拘束あり」は24.3%であった。次いで「心理的虐待」が38.1%、「介護等放棄」が23.9%、「経済的虐待」が4.0%、「性的虐待」が3.5%の順。
  • 虐待者の職種…「介護職」が81.3%、「看護職」が5.1%、「管理職」が4.6%、「施設長」が3.9%の順。
  • 施設・事業所の種別…「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」が30.9%で最も多く、次いで「有料老人ホーム」が29.5%、「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」が13.5%、「介護老人保健施設」が5.3%の順。
  • 虐待の発生要因(複数回答)…「教育・知識・介護技術等に関する問題」が56.2%で最も多く、次いで「職員のストレスや感情コントロールの問題」が22.9%、「虐待を助長する組織風土や職員間の関係の悪さ、管理体制等」が21.5%、「倫理観や理念の欠如」が12.7%の順。

 厚労省は令和3年度から、虐待防止に関する研修の定期的な実施、再発防止のための委員会の設置などを運営基準に盛り込み、令和4年度からは義務化している。虐待件数が増加したことについて、「相談窓口の周知などの継続的な取り組みが進んだこと」を挙げている。

参考資料