最新情報
〈厚生労働省〉
医療保険制度の見直しに伴う後期高齢者保険料の増額、激変緩和措置も
JS-Weekly No.859
#75歳以上の保険料 #出産育児一時金
75歳以上の後期高齢者の負担増額は、厚労省試算では平均で5300円
厚生労働省は12月9日の社会保障審議会医療保険部会で、医療保険制度の見直しに伴う後期高齢者医療制度の保険料の試算を公表した。
医療保険制度の見直しでは、①出産育児一時金の引き上げ、②出産育児一時金に係る費用の後期高齢者医療制度による負担(一時金の7%)の導入、③後期高齢者医療における保険料負担割合の拡大などを検討。これらの見直しを踏まえた後期高齢者一人当たりの年間保険料を、出産育児一時金を47万円(現行より5万円増)として試算すると、一人当たり年平均で5300円増加する。このうち出産育児一時金の新たな負担分は1300円となる。保険料が実際に上がるのは、後期高齢者全体の4割に上るとした。
制度改正後の後期高齢者一人当たり保険料額 ※( )内は月額
収入 | 年間保険料 | 増加分 |
---|---|---|
年収80万円 | 1万5100円(1260円) | 0円 |
年収200万円 | 9万700円(7560円) | +3900円(+330円) |
年収400万円 | 23万1500円(1万9290円) | +1万4200円(+1180円) |
年収1100万円 | 80万円(6万6670円) | +13万円(+1万830円) |
※平均額 | 8万7300円(7270円) | +5300円(+440円) |
第160回社会保障審議会医療保険部会資料から作成
急激な保険料の負担増に配慮し、保険料増は段階的に実施
岸田文雄首相は、12月10日の記者会見で出産育児一時金を50万円程度に引き上げることを表明した。こうした急激な負担増に配慮し、厚生労働省は13日、激変緩和措置を設ける方針を示した。令和6〜7年度の出産育児支援金は、2分の1を後期高齢者医療の支援対象とする。また、後期高齢者の高所得者が支払う医療保険料は、2年かけて段階的に引き上げることとし、令和6年度は年間73万円、令和7年度に年間80万円とした。
年収200万円程度の中間所得者層も、所得比例部分の引き上げを実質1年遅らせ、令和7年度からとするなどの配慮を行う。この結果、当初は保険料が実際に上がるのは全体の4割(年収153万円超)としたが、令和6年度は約27%(年収211万円超)にとどまる見通しとなった。
前期高齢者の費用負担では、健康保険組合の負担が600億円増
65~74歳(前期高齢者)の医療費の費用負担の見直しについては、令和6年度から、大企業の社員が加入する健康保険組合の負担が600億円増える案をもとに調整する。負担増に配慮し、公費による支援をする方向。中小企業の社員らが入る全国健康保険協会(協会けんぽ)は970億円の負担減になる。