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〈厚生労働省〉
第100回社会保障審議会介護保険部会 介護保険制度改正に向け 「給付と負担」について本格的議論をスタート 小泉副会長、意見陳述
JS-Weekly No.853
#介護保険料 #自己負担割合 #応能負担
介護保険制度を維持・継続するための方策を議論
厚生労働省は10月31日、第100回社会保障審議会介護保険部会を開催した。近年、介護が必要な高齢者数は急増、これに伴って介護にかかる費用も増加を続けている。令和4年度の総額は予算ベースで13.3兆円(介護保険制度が始まった2000年と比べて3倍以上)に増え、今後も増加が続く見通しとなっている。今部会では、制度の維持を目指し、給付と自己負担の見直しを中心に議論を行う。年内に見直しの方針を固め、令和5年通常国会に法案を提出する予定としている。
介護保険料の応能負担や、介護サービス費自己負担額の引き上げも俎上に
これまでの議論をもとに、負担能力に応じた負担、公平性等を踏まえた給付内容の適正化の視点に立ち、以下の論点について検討を行う。
- 被保険者・受給者範囲…今後の人口構成の変化や、これまでの議論の経緯を踏まえ、介護保険制度における被保険者・受給者の範囲について、どのように考えるか
- 補足給付に関する給付の在り方…経過的かつ低所得者対策としての性格をもつ補足給付に対して、他の被保険者との公平性の観点から見直す点はあるか など
- 多床室の室料負担…介護老人保健施設及び介護医療院の多床室の室料負担の在り方や、在宅でサービスを受ける者との負担の公平性 など
- ケアマネジメントに関する給付の在り方…現在のケアマネジメントの定着状況や、セルフケアプランの増加等によるケアマネジメントの質への影響 など
- 軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方…総合事業の実施状況や市町村の意向、認知症の者も多い要介護1・2の者の要介護状態に応じて必要となるサービスの質や内容、人材不足の状況などを踏まえた検討 など
- 「現役並み所得」「一定以上所得」の判断基準…判断基準をどのように考えるか など
- 高所得者の1号保険料負担の在り方…高齢化の進展に伴い、1号保険料水準の中長期的な伸びが見込まれる中で、被保険者の負担能力に応じた保険料設定についてどのように考えるか
小泉副会長、軽度者への生活援助サービス等の在り方についてなど意見陳述
本会から出席した小泉立志副会長は、軽度者への生活援助サービス等に関する給付のあり方について次のように意見を述べた。
10月21日に全国老人福祉施設協議会他7団体連名で要望書を提出し、要介護1と2の高齢者への訪問介護、通所介護を市町村の総合事業へ移す構想に対しては、断固反対の意を表明した。理由の一つとして、財政制度分科会の資料では「要介護1・2の方への訪問介護と通所介護も、以前要支援者と同様に地域支援事業へ移行し、全国一律の基準ではなく、地域の実情に合わせた多様な人材と多様な資源を活用したサービス提供を可能にすべきである。」とされているものの、
- 介護予防通所介護における要支援1・2を対象とした総合事業の実態は、厚生労働省の介護予防・日常生活支援総合事業(地域支援事業)の実施状況に関する調査結果を見ると、令和元年度から令和2年度にかけて577事業所減少してしまっている
- 多様な人材と資源を活用したサービス提供を目的としたA型、B型、C型のサービスと通所・従前相当のサービスの割合では、通所・従前相当が75.1%と大半を占め、A型16.9%・B型3.8%・C型4.2%・その他0.1%と、受け皿が出来ている状況とはいえない
という状況であり、サービスの量・質ともに検証もないまま、総合事業へ移行する議論は時期尚早であると言わざるを得ない。
ケアマネジメントに関する給付のあり方について
日本介護支援専門協会は、去る10月28日に本会含む10団体連名で「居宅介護支援費、介護予防支援費における現行給付の維持継続について(要望)」を厚労省の老健局長宛てに提出したが、この中でケアプランの作成に必要となるケアマネジメントに係る保険給付を10割とする給付の取扱いを維持するよう要望している。