福祉施設DX

特集(DX関連)

約9万人が来場!新製品や新たな開発技術が一堂にそろう一大イベント「国際福祉機器展2022」リポート②

2022.11 老施協 MONTHLY

高齢者生活福祉研究所所長 加島 守さんが解説

8万8000人以上が来場し、ハンドメードから最先端技術まで、福祉機器の今・未来が分かるアジア最大規模の国際展示会「国際福祉機器展」が、10月5から7日にかけて東京ビッグサイトで開催された。編集部が注目する4つのキーワードをトピックに、同イベントで講演会を行った高齢者生活福祉研究所所長・加島 守さんの視点と共に最新の福祉機器を紹介していく。


Key Word 04
見守り

各社で異なる機能に大注目!

老施協でも実証実験が行われているロボット介護機器の開発重点分野である“見守り・コミュニケーション”は最大の展示スペースを有していた。


見守り介護ロボット まもる〜の
金額も明示しているので、初期費用も分かりやすいです!

見守り介護ロボット まもる〜の
●株式会社ZIPCARE

本体とベッドに取り付けたセンサーから、利用者の睡眠やバイタル、離床、室内環境をスマートフォンやパソコンで確認可能。10月からクラウド対応となり、さらに使い勝手も上がっている


見守りシステム ペイシェントウォッチャーAi
通信端末内蔵で、準備や設備投資の必要はなし

見守りシステム ペイシェントウォッチャーAi
●株式会社アルコ・イーエックス

赤外線カメラを使用した見守りシステム。リアルタイムで状況を確認でき、ナースコールなどにも接続可能。専用の取り付けスタンドで簡単に設置でき、利用者を変える場合の移動も簡単


見守り支援システム「眠りSCAN」

見守り支援システム「眠りSCAN」
●パラマウントベッド株式会社

ベッドに設置したセンサーで体動を測定し、パソコンやタブレットでリアルタイムに状態を確認できる。導入後に、使いこなすまでサポートしてくれるのが同社の特徴だ


見守りライフ

見守りライフ
●トーテックアメニティ株式会社

転倒転落防止に特化した離床センサー。ベッド上の荷重変化で検知するため、検知が早く、精度も高い。カメラ機能で訪室の判断が適切にでき、ベッド上での体重測定も可能に


無線ケアコールシステム「カコロ」

無線ケアコールシステム「カコロ」
●ジーコム株式会社

3Dレーダーで入居者の状態をリアルタイムで把握し、異常時や呼び出し時にスタッフが持つスマートフォンに通知される先進的なコールシステム。入居者の生活見守りが可能


Aiserv 排泄検知システム

Aiserv 排泄検知システム
●新東工業株式会社

おむつに取り付けたセンサーで排せつを検知。端末に通知され、通知から記録までをアプリで一元管理できる。ウエアラブルで、効率のいいおむつ交換を可能にしてくれる


kizkia-Knight(きずきあ-ないと)

kizkia-Knight(きずきあ-ないと)
●三菱電機インフォメーションシステムズ株式会社

トイレの見守りをシルエット映像に変換することで、利用者のプライバシーに配慮したサービス。スマートフォンに通知が届き、シルエット映像を確認。個室などでも活用できる


HitomeQ ケアサポート

HitomeQ ケアサポート
●コニカミノルタ株式会社

天井に取り付けたセンサーが利用者の行動を認識。プライバシーに配慮し、利用者の行動があった場合のみ映像を通知。行動データを蓄積し、自立支援にも役立てられる


見守り介護ロボット aams
感度や性能が向上した最新モデルを来夏に発売する予定です。ご期待ください

見守り介護ロボット aams
●株式会社バイオシルバー

心拍、呼吸、離着床、睡眠など、利用者の状態を離れた場所でもモニタリングできる。タイムラグが0.5秒以下のため、異変があった際はいち早く駆け付けることが可能

有識者・加島 守さんの視点

見守り機器は多くの製品が登場し、蓄積されたデータを介護者がしっかりと認識・分析し、ケアにつなげていくフェーズに来ました。データを元に介護をアップデートすることが利用者自身の安心にもつながると思います


キーワード以外の
最新機器をピックアップ!

利用者も介護者も笑顔になるために

会場では、他にも福祉施設環境設備・用品、トイレ・おむつ、入浴用品といった、さまざまなカテゴリーの福祉機器が展示されていた


青空照明 misola
まるで本物の青空!朝、昼、夕、夜で空の色の変化が可能

青空照明 misola
●三菱電機照明株式会社

独自構造により、室内空間で奥行き感のある青空と自然な光を表現する照明器具。福祉施設などの快適性向上に貢献してくれる


重度障害者用意思伝達装置 OriHime eye+Switch

重度障害者用意思伝達装置 OriHime eye+Switch
●ダブル技研株式会

視線やスイッチ入力で、文字打ちや合成音声のスピーチができる意思伝達装置。オプションで、分身ロボットOriHimeも活用可能


ワンズケア トイレ処理袋

ワンズケア トイレ処理袋
●株式会社総合サービス

ポータブルトイレの受けバケツにかぶせることでバケツが汚れず、洗浄が不要。処理袋内シートで排尿4〜6回分吸収でき、消臭効果も


自動排泄処理装置 MINELET爽
専用おむつは1日に1枚程度の交換で済みます!

自動排泄処理装置 MINELET爽
●株式会社プロモート

ベッド上で排せつが必要な方に、専用の紙おむつを装着して使用する。センサーが大小便を感知して、自動的に吸引し、シャワー洗浄、おむつ内除湿を行う


ピタットチェア PT20
自立の促進と介護負担を軽減する次世代型介護椅子

ピタットチェア PT20
●株式会社オフィス・ラボ

90度ごとに自動的にロックが掛かり、立ち座りの際も利用者がふらつかず安心。座面より上部は前後にスライドできるので、軽い力でテーブルに近づけられるのが特徴


介護AI入力予測ツール 記録NAVI

介護AI入力予測ツール 記録NAVI
●三菱電機ITソリューションズ株式会社

アイコン化された文例を選択していくだけで介護記録が作成できる介護AI入力予測ツール。PC操作が不慣れな方や外国人、新人スタッフでも活用できる


wellsシャワー温浴システム 浴用椅子設置タイプ

wellsシャワー温浴システム 浴用椅子設置タイプ
●積水ホームテクノ株式会社

浴用椅子についたシャワーアームから座ったままで湯を浴びられ、浴槽に入らなくても体を温められる


WiSM FILLTUNE WeCLEAR
難聴でも、これがあればコミュニケーションが可能に

WiSM FILLTUNE WeCLEAR
●株式会社ムトウ

世界で唯一、感音性難聴に効果があることが実証されたヒアリングサポートデバイス。補聴器と違いチューニングも不要で気軽に使用できる


SOEL MX(ソエル エムエックス)
天井走行型、床走行型、浴室設置型の3タイプのリフトが展開中!

SOEL MX(ソエル エムエックス)
●日本ケアリフトサービス株式会社

日本の介護ニーズに合わせた安全性や機能を備えた、メード・イン・ジャパンの介護リフトシリーズ。同社はリフト導入後の、定着サポートも行っている


メーカー担当者に聞いた
最新オススメ福祉機器


らくらくテーブル TNAシリーズ
体格の違う方同士が一つのテーブルで楽しく食事ができます

有限会社テクノム
らくらくテーブル TNAシリーズ

天板がそれぞれ分割されているため、利用者一人一人の高さに合わせられる人気の介護用昇降テーブルシリーズ。4隅に脚部がないモデルは、進入角度が広くとれて、車椅子でも使いやすい


入浴支援リフト NL-600
これまで難しかった浴室内での移乗が可能です

株式会社いうら
入浴支援リフト NL-600

入浴はもちろん、脱衣場から浴室内まで水回りで使用可能なリフト。個浴にも対応したタイプで、介助者の入浴介助の負担を軽減してくれる。来年1月発売予定


ポータブルトイレ FX-30 らくゾウくん
症状が変わっても使い続けられる汎用性

アロン化成株式会社
ポータブルトイレ FX-30 らくゾウくん

基本機能が向上した、移乗・排せつ・片付けを支えてくれる最新マルチサポートトイレ。長く使え、移乗動作や姿勢保持など、一人でできることが増えるため感染症対策にも有効


絆Core 総合記録シートシステム
状態変化や経過観察が一目で分かります!

株式会社内田洋行
絆Core 総合記録シートシステム

事業所の業務負担の軽減と利用者サービス向上に寄与した人気のソフトウエアシリーズから、入所者のケア記録を1日24時間軸で1週間分を一覧で確認できるタイプが登場した


ミストシャワーブース エチュード
使用する湯量は1分間13Lで経済的にも◎!

株式会社アマノ
ミストシャワーブース エチュード

爪先から肩まで、合計22カ所のシャワーノズルで、体の芯から温まるミストシャワー入浴機。フルリクライニング&スムーズなアプローチで、介護者の負担も減少してくれる


wellsリフトキャリーチルト
移乗介助の負担を軽減し安心・安全な入浴を実現

積水ホームテクノ株式会社
wellsリフトキャリーチルト

洗体から入槽まで、乗り換え不要の「wellsリフトキャリー」から、チルトタイプが新登場。チルト機能で背もたれにしっかりともたれて、安定して座ることが可能になります

高齢者生活福祉研究所所長
有識者・加島 守さんの総論

福祉機器で利用者がこれからの人生を楽しく過ごせるサポートを

コロナの影響で各メーカーは展示製品を絞っていたため、各社が力を入れている商品をじっくり見ることができました。今までは抑制的な介護が行われていたかもしれませんが、利用者の視点で開発されている製品が増えてきていますので、これらの機器を上手に扱い、利用者の意思や人間らしさを尊重してあげることが大切です。また介護者の方も、そのイメージが湧くように機器を扱うことが大事。製品の導入も高機能なものをいきなりそろえようとせず、テーマを決めて少しずつステップアップしていくことが大切。来年以降、最新機器のチェックはもちろん、メーカーの担当者とコンタクトが取れて、製品の説明も聞くことができる福祉機器展を活用することをおすすめします


高齢者生活福祉研究所所長

加島 守

Profile●かしま・まもる=高齢者生活福祉研究所所長、一般財団法人保健福祉広報協会評議員。今回の国際福祉機器展では、福祉機器の選び方・使い方に関するセミナーで講師を務めた。現在は特別養護老人ホームのアドバイザーなども担っている


撮影=磯﨑威志/取材・文=宮澤祐介