介護のかたち

介護のグルメ

ご飯をつぶして餅の代わりに

だしがきいてる関東風雑煮

2022.12 老施協 MONTHLY

お正月に食べたいものといえばやはり餅が入った雑煮。とはいえ餅は高齢者にとっては注意したい食材の一つです。今回は咀嚼力が低下した方も安心して食べられる雑煮を紹介します!


鶏と和風だしがうま味を倍増させる
高齢者もおいしく安心して食べられる雑煮

つぶしたご飯を丸めて食べやすい餅に早変わり

 お正月を特別な気持ちにさせてくれる雑煮。ただ咀嚼力や嚥下力が低下してくると、窒息事故のリスクが怖くてなかなか餅を食べられないなんてことも。そんな高齢者にピッタリの雑煮を教えてくれたのは、介護食アドバイザーの渡邉未央さん。

渡邉「喉に詰まりやすい餅の代わりに、つぶしたご飯を使っています。表面にうっすら焼き色をつけると、香ばしさも再現できるのでおすすめ。介護用寒天を加えても食べやすいです。日々の汁物としても活躍する一品なのでぜひ作ってください」

 和風だしが決め手の雑煮だが、圧力鍋で調理した鶏だしと合わせるのが今回のポイントの一つ。

渡邉「鶏だしは、鶏肉を加熱したときに出るものでOK。鶏と和風だしを合わせることでうま味が倍増します。少量の調味料を使用したとは思えないほど、しっかりとした風味を楽しめます。最後にのせる柚子もアクセントになるのでお忘れなく」

 軟らかい野菜をたっぷり食べられるのも雑煮のいいところ。

渡邉「にんじんや大根は細切りにすることで食べやすく、火も通りやすくなっています。かみ切りにくい三つ葉は、結ばずカットしてください。ほうれん草を使ってもおいしいです」

One Point

ご飯は粘り気が出て、粒が少し残るくらいまでつぶせばOK。焼くとまとまりが出て、表面が少しパリッとします。バーナーで焦げ目をつけると香ばしさが出ます。

渡邉未央

渡邉未央

Profile●わたなべ・みお=フードコーディネーター、料理研究家。「食を通じて人々をHAPPYに」という信念のもと、アイデアあふれる簡単&楽しい料理を提案。工夫を凝らした家庭料理や見る人を楽しませるパーティー料理が得意。テレビ・雑誌に出演するほか、企業のレシピ開発なども手掛ける


撮影=高嶋一成╱取材・文=玉置晴子