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“介護新時代”現場革命による新たな価値の創出
第2回 全国老人福祉施設大会・研究会議 JSフェスティバル in 岐阜 潜入レポート①
2024.01 老施協 MONTHLY
老施協の全国大会と研究会議を統合した「JSフェスティバル」が岐阜県で開催された。岐阜信長公おもてなし武将隊 響縁や漫才コンビ・流れ星☆が登場するなど、岐阜感にあふれるイベントとなった。
JS FESTIVAL in GIFU 1日目 11月29日(水)
2日間にわたるイベントがスタート
開会式典
岐阜県知事(代理で副知事が登壇)や岐阜市市長をはじめ、そうそうたる来賓を招いて開会式典が行われた。大会宣言の発表と採択をもって、2日間にわたるイベントが開幕した。
首長や省庁の来賓も登壇 第2回大会が岐阜の地で開催
全国老施協の大会・フォーラム委員長の菅原哲雄氏による開幕宣言で幕を開け、大きな拍手でスタート。主催者・来賓各氏からのあいさつが続き、次回は滋賀県で開催されることが発表された。
表彰
退任理事、退任代議員、永年勤続者の表彰が行われ、代表の方々が大山知子会長から賞状を受け取った。
主催者・来賓のあいさつ
公益社団法人
全国老人福祉施設協議会 会長
大山知子
来賓、参加者、大会準備にまい進した岐阜県老施協へ感謝の言葉を述べた大山氏。令和6年度のトリプル改定にも触れ、「厳しい戦いだが、少しでも喜ばれるような結果に」と誓った
一般社団法人
岐阜県老人福祉施設協議会 会長
若山宏
「厳しい状況がある中、全国の会員の皆さまに来ていただき感謝申し上げます」と来場者を歓迎した若山氏。よく学び、よく遊び、明日から頑張ろうと思えるような大会にしたいと笑顔
公益社団法人
全国老人福祉施設協議会 常任理事
そのだ修光
「社福の企業がどれくらい厳しいのかというのを、国民の皆さんにも理解していただくことが重要」と、今回の大会に懸ける思いを力説したそのだ氏
厚生労働省
大臣官房審議官
斎須朋之
近年の急激な物価高騰や賃上げの動向に関して「国会で、緊急対応として予算案に重点支援地方交付金の追加などといったことを盛り込んだところです」と、国としての動きを報告した
全国老施協が果たすべき役割とは
基調報告
冒頭は大山会長による基調報告。会長に就任してからの半年間と、今後の取り組みについて語った。
現場・全国老施協の声を自らの活動で国政に届ける
「皆さまの声が私の背中を押してくれています」と、会長に就任してからは介護報酬改定に向けて走り抜いているという大山氏。冒頭では令和4年度の特別養護老人ホームの収支状況に触れ、「昨年度は特養の62%が赤字。これはもう危険水域です」と率直な思いを吐露する。そんな中でも介護職に従事する方に向け「コロナ禍、物価高騰の中でもしっかりと働いていただき、支えていただいている」と感謝の意を示していた。
現状を踏まえ大山氏は「公定価格の中ではやりようがない数字に陥っている。私は極論で言えば国民の命=高齢者の命。そこを守るには財源が必要で、財源がなければサービスの質を向上させることは難しい。さらに職員の賃金も上がらない状態では、人材の流出も止めることができない」と強調。続けて、民間企業は3・58%まで上がったにもかかわらず、介護業界の賃上げ率が1・42%だったことに対しても言及し「中小企業と私たち福祉サービス業の賃金格差は約6万円。このような状況を踏まえ、全国老施協の活動として制度政策検討会議をスタートさせました。この会議は皆さまの問題や課題を集約、整理をして、関係省庁や国会議員への陳情・要望につなげていくものです」と、現在の取り組みを報告。同会議でまとめられた現場の声は、関係団体と協力して国へ訴えているという。
施設を取り巻く環境が激変していると続ける。「人材不足、いつ起こるか分からない自然災害、感染症、目の前に迫った介護報酬改定。超高齢化と少子化で、生産年齢人口が減少する中で、最低限必要な人材を確保できるのか。施設運営を継続、維持するために、全国老施協が全国の皆さまと共にやるべきこと、都道府県でやるべきこと、施設でやるべきこと。それぞれを意識しながら訴えることは訴え、私たちに求められることはしっかりと対応していきたい。国民に安心を提供でき、信頼を得られる福祉でなくては、今後の継続は難しい。財源と信頼、信用、これを兼ね、私たちは進んでいかなくてはならないと思っております」
最後に、介護報酬改定に触れ、大変厳しい状況と大山氏。
「組織内議員を失った今、現場の声を直接届けることが難しく、苦難の連続です。1万1000人ほどの会員が所属している、全国老人福祉施設協議会の発信力は大変重要でございます。各地の介護現場の声を国政に届けたい。自分たちの活動で必ずやプラス改定を果たしたい。与えられるのではなく、自分たちで勝ち取る。9%という、大幅なプラス改定を目指しております」と力強く宣言。最後は小泉立志副会長も登壇し、全員で「がんばろう」と鬨の声を上げて、一致団結を図っていた。
日本の介護業界の現状とこれから
行政報告
厚生労働省・大臣官房審議官の斎須朋之氏が、令和5年度の社会保障審議会介護保険部会の途中経過、さまざまな課題について報告。冒頭では、生産年齢人口が減少する現状に危機感を募らせた。
さまざまな技術を使っての働きやすい職場づくりが重要
生産性の向上と人材確保が今後の大きな課題と語った斎須氏。地域包括ケアシステムとDX化の深化・推進が欠かせないという。
「政府としても、ワンストップ窓口、導入支援など、さまざまな取り組みをしています。今後は、全ての都道府県で相互相談窓口を作っていきたい。処遇改善だけでなく、いろいろなことができると思います」と、連携を誓っていた。
ロボット・ICTシンポジウム
介護ICTを導入予定、またはさらなる活用を検討している方に向けて
介護新時代に求められる働き方と介護DX
〜全国老施協版介護ICT導入モデル事業の普及研修(実地研修)レビュー~
11月29日のロボット・ICTシンポジウムでは、全国老施協版介護ICT導入モデル事業の普及研修(実地研修)を行っている3つの施設よりレビューが報告された。
公益社団法人全国老人福祉施設協議会
ロボット・ICT推進委員会 委員長
岩井広行
岩井氏は、富山の特別養護老人ホーム「ささづ苑かすが」を運営する社会福祉法人宣長康久会の理事長でもある
社会福祉法人弘陵福祉会
特別養護老人ホーム六甲の館 理事長・施設長
溝田弘美
「六甲の館」は、ノーリフトケアで、日本看護協会主催の「看護業務の効率化先進事例アワード2021」奨励賞を受賞
社会福祉法人宣長康久会
地域密着型特別養護老人ホーム
ささづ苑かすが ユニット部次長
江尻勇輝
ICT化を進めてきた江尻氏は「悩む前にやってみましょう」と呼び掛けた
公益社団法人全国老人福祉施設協議会
ロボット・ICT推進委員会 幹事
鈴木健太
鈴木氏が前施設長である「砧ホーム」は、「介護職員の働きやすい職場環境づくり内閣総理大臣表彰」を受賞
テクノロジーを使っていかに利用者のために奉仕できるか
東京の特別養護老人ホーム「砧ホーム」前施設長でもある鈴木氏は、開口一番「砧ホームとささづ苑かすがが、介護職員の働きやすい職場環境づくり内閣総理大臣表彰を授与されました!」と報告、会場に拍手が湧いた。
「砧ホーム」では、見守り機器が全床に導入されている。これにより、利用者の覚醒タイミングに応じた介助を行っている。
実地研修では、参加者が、さまざまなICT機器をそれぞれの特徴を理解しながら、十分に活用されていると感じたという。
これから導入予定の施設には「ノーリフトケア、職員ファースト、プロとしての活用」を勧めた。
富山市の「ささづ苑かすが」では、主に情報共有機器や介護記録請求ソフトを導入。記録時間が半分となり、記録量は3倍になったという。そのデータを分析し、利用者の睡眠の質改善、体調の変化の早期発見を実現している。
実地研修では、デモは短期間なので、長期で使った際のデメリットを聞けたと好評であった。
江尻氏は、導入予定施設に「もう一つの介護力、とりあえずやってみましょう」と呼び掛けた。
神戸市の「六甲の館」の実施研修では、参加者の約7割がノーリフトケアに興味を持ち、同施設の機器・仕組みを全部導入したいという声も上がったほどの盛況ぶりだ。
溝田氏は「介護テクノロジーを導入しただけでは人材不足解消にはならない、最も重要な人材確保のためには腰痛問題をノーリフトケアで解決すること」という。
聴衆には「ノーリフトケア+介護テクノロジーで、利用者ファーストのための職員ファーストの実現、そして、介護経営の世界観をイノベートし、新たな社会参加を創出しましょう」と提唱した。
最後に、司会の岩井氏は、施設の報告の共通点として、「リフトを含めた介護テクノロジーを活用して、腰痛予防対策、ノーリフトケアを推進しています。いかに道具やテクノロジーを使って、利用者のために奉仕できるかという発想がスタート」ということを挙げ、「利用者に喜んでいただくためには、まず職員ファーストであり、そのためのロボット・ICTなんです。介護職員に満足してもらい、自己実現達成感が究極の狙いです」と締めくくった。
介護・福祉分野のさまざまな製品やサービスを展示
介護機器展
イチオシの最新機器をその目で確認・体験できる
11月29日・30日の両日にわたって開催された介護機器展。市民ギャラリーとメインホール前のホワイエで行われ、計29社のメーカーが介護・福祉分野の製品やサービスを展示。現場の最前線で働く介護関係者の興味を大いにそそった。展示されている機器は実際に試すことができ、自施設での導入を検討する姿が多く見られた。
外国人介護人材プログラム
現場で働く外国人職員が抱える不安や悩みなどを聞く
グローバルな介護現場を創る
〜「介護」という志を同じくする仲間のために〜
11月29日に開催された外国人介護人材プログラムでは、雇用する介護施設の施設長らと、現場で働く外国人職員が登壇、現状の不安について報告した。
公益社団法人全国老人福祉施設協議会
外国人介護人材対策部会 副部会長
森山善弘
当プログラムの司会者。外国人介護人材の受け入れに関して、全国の介護施設に早めに相談してほしいと呼び掛けた
特別養護老人ホーム
川場春光園 施設長
信澤真由美
RIZAさんも在籍する介護施設を運営。外国人介護人材と施設のマッチングと事前リサーチの大切さを訴えた
特別養護老人ホーム
川場春光園 副施設長
富澤伸也
信澤氏の下、施設を運営。技能実習制度では技能実習責任者であり、特定技能では登録支援機関の本部担当者である
特別養護老人ホーム
川場春光園 特定技能外国人
RIZA FITRIA
自然を愛するインドネシアのジャワ島出身。在留資格は、技能実習から始め、現在は特定技能1号として勤務
特別養護老人ホーム
フェローホームズ森の家 特定技能外国人
PHAM GIA TUAN
ベトナムより2019年に来日。在留資格は、現在、特定技能1号として勤務
特別養護老人ホーム
珠光園はる 在留資格「介護」
WAI YUN OO
ミャンマーより2018年に来日。在留資格は、現在、介護として勤務
言葉と文化の違いなど不安要素を解消するには
全国老施協では、外国人介護人材の採用を積極的に推進しているが、令和4年における調査では、現在、外国人職員が在籍していない施設が約半数に上っている。しかし、そういった施設であっても、約90%が将来の介護人材不足への不安を感じているという。
外国人介護人材を受け入れた介護施設が、さまざまな問題による不安感に対し、どのように取り組み、解消しているのか。また、介護現場で働く外国人職員は、どのような不安を感じているのか。
当プログラムでは、外国人介護人材を採用している施設の施設長、副施設長と、介護現場で働く外国人職員に話を伺った。
日本の技術や労働管理を学びたいというRIZAさんは「日常会話は問題ないですが、利用者とのコミュニケーションにおいて、日本語の使用に不安を覚えています。また、インドネシアの気候は暖かく、入浴の際、浴槽に漬かる習慣がないので、利用者が何分漬かるのかよく分かりません」と、文化の違いにも戸惑っている。
日本は高齢化が進んでいるので、これから介護技術が発展すると考え、建築関係から転職したというPHAMさんは「介護排泄や感染症が不安です。また、特定技能のビザで働いているので、介護の資格を取得できなかったら帰国しなければなりません」という問題にも頭を悩ませている。
WAIさんは「日本はゴミの出し方から交通ルールまでルールが厳しいので、きちんと守れるのかどうか、また、利用者をうまく介護できるか、拒否されたらどうするか」と心配している。
それでは、外国人介護人材を雇用する介護施設側の不安は、どんなものなのか? 富澤氏は「外国人は日本語能力試験N4レベルで入国していますが、やはり言葉の不安があり、また、利用者や日本人職員の外国人アレルギーに対する不安もあります」という。
信澤氏は「外国人職員が地方にある自分の施設から便利な都市部に移ってしまわないか、長期間在籍してもらうにはどうしたらいいか」といった懸念を挙げる。
しかし、伺ってみると、外国人職員が抱えている不安は、おおむね日本人職員の手厚いサポートで解消しているようである。信澤氏は、本人と施設のマッチングが大切であり、入念な事前リサーチを行うことの重要性を説いた。
外国人介護人材の受け入れを施設関係者が相談できる
外国人介護人材相談ブース
アジア圏を中心に外国人介護人材を紹介
長良川国際会議場2階のロビーホールで、11月29日・30日の両日にわたって行われた外国人介護人材相談ブース。フィリピンやインドネシア、ネパール、ベトナム、モンゴルなど、主にアジア圏を中心に紹介しており、外国人介護人材の受け入れを真剣に考えている施設関係者が数多く相談に訪れていた。
デイサービス・ディスカッション
事業所の存続を懸けた実践からデイ生き残り戦略の核心に迫る
デイサービスの存続と発展、未来への戦略
〜デイ事業継続等相談支援の経験を通じて〜
令和4年度から始めたデイサービス事業継続等相談支援。本プログラムでは、その成果の共有と、今後の課題について討論が行われた。
公益社団法人全国老人福祉施設協議会
デイサービスセンター部会 副部会長
内舘憲二
波潟部会長の下、デイサービス事業継続等相談支援を進めている。本プログラムにおけるコーディネーターとして、司会進行を担当
株式会社TRAPE 代表取締役
鎌田大啓
介護業界におけるwell-beingな体験をテーマに活動。デイサービス事業継続等相談支援で行ったコンサルティングの具体的な取り組みや成果を発表
公益社団法人全国老人福祉施設協議会
デイサービスセンター部会 部会長
波潟幸敏
本プログラムを通じて、デイサービスの置かれた厳しい現状を共有。事業継続のための支援の必要性と、目指すべきゴールを示した
デイサービスセンターほんべつ 施設長
木南孝幸
北海道東部の本別町から参加。本別町社会福祉協議会で行う6事業のうち、デイサービス事業の恒常的かつ深刻な赤字が経営課題に
デイサービスセンター・ちあき 所長
丹羽俊貴
愛知県一宮市の東部に位置する千秋町から参加。グループ全体で10施設を運用しているが、デイサービス事業は稼働率の低迷が続いていた
課題や失敗はあって当然 見える化することが大事
まず、デイサービス事業継続等相談支援の参加者である「デイサービスセンターほんべつ」施設長の木南氏と、「デイサービスセンター・ちあき」所長の丹羽氏から、令和4年度の取り組みと成果、令和5年度の課題が発表された。
木南氏は、参加理由としてデイサービス事業の深刻な赤字を挙げた。問題点は、営業日数が少ない、課題を話し合う場がないなど複数あったが、参加したことで課題解決の話し合いが定例化。「課題を明文化し、きちんと深く掘り下げることができる」と変化を実感している。令和4年度の成果として、土曜日の営業をスタート。令和5年3月時点の利用者は3名だったが、11月末には10名に増え、「年度内には15名くらいまで増やせたら」とさらなる目標を掲げた。
丹羽氏は、令和元年度後半からの稼働率低下を危惧。「コロナ禍もあり稼働率が低迷し、令和4年度まで70%前半の値が続いた」と、デイ相談支援参加の背景を語った。職員同士の対話を進めながら、令和4年度は取り組むべき課題を絞り込み計画を立案。令和5年度の部署目標に組み込んで取り組みを進めたところ、令和5年10月には目標であった稼働率80%を達成。確実に成果を上げている。
デイサービス事業継続等相談支援の支援業者である株式会社TRAPEの鎌田氏からは、支援の具体的な手法が公開された。「本事業の目的は、本質的な経営改善に資する支援を提供すること」と話し、本質的とは持続性であると訴える。そのために、令和4年度は集団コンサルティングを実施し、本質的な部分を各参加事業所と共有。事業所の背景を整理し課題を発見、これを深掘りしながら優先的に取り組む課題を選定、目標設定と具体的な行動指針までを落とし込んだ経営改善計画策定シートを作成した。これを基に個別面談を行い、各事業所に合った形でのサポートを行ってきた。
令和5年度は、昨年度の取り組みを再点検してアップデートに着手。「忘れてはならないのは、この改善をすることで何を手に入れたいのか、ワクワクしたイメージを経営者と現場が共有すること」と話し、目標の具体化、そして数字での目標値を掲げて取り組む必要性を強調した。また、「大事なことは、日々の進捗管理」とも指摘。成功や失敗の理由を検証しながらアップデートしていくことを、企業としてサポートしている。
最後に、波潟部会長がこの1年半の取り組みを振り返った。「2年目の施設では利用者延べ人数がおおむねアップし、業績面でも改善の兆しが見えているところは大いに評価し、参加施設の努力とこれまでの奮闘に敬意を表します」と、事業に手応えを感じている。
一方で、デイの経営が悪化の一途をたどっているのは「デイサービスの戦略経営、組織マネジメントをやってこなかったのが原因」と自省を込めて語った。「戦略なき経営に未来はない」と力説し、聴講者に向けて「公開している各施設のクロスリポートをぜひ参考にしてほしい」と呼び掛けた。
施設職員の働き方や職場環境改善プログラム
男女関係なく力を発揮できる職場環境をどのようにつくっていくか
みんなが笑顔になる職場とは
〜女性視点の職場環境づくり〜
女性キャリアアップ推進部会が中心となり有識者2名と現場職員代表者2名を招いて職場環境に関する意見交換が行われた
公益社団法人全国老人福祉施設協議会
女性キャリアアップ推進部会 担当副会長
山田淳子
慶應義塾大学大学院
健康マネジメント研究科 教授
堀田聰子
株式会社Blanket 代表取締役
秋本可愛
特別養護老人ホーム
ほほえみ福寿の家 施設長
高井澄恵
特別養護老人ホーム
小川ホーム 施設長
小林美穂
多様化する介護業界での〝働きやすさ〟とは何か?
女性キャリアアップ推進部会発足後に開催された本プログラム。小林氏がコミュニケーションの大切さを実感とともに語ると、堀田氏は「あいさつや声掛けのような簡単なおしゃべりも大事」と言及。高井氏の子育てをしながらキャリアを積んだ実体験には、出産後のためリモート参加した秋本氏が共感し、男性の育休取得を力説した。
特別記念講演 フリーアナウンサー 近藤サト氏
私らしい生き方 〜グレイヘアという選択〜
「こういった全国規模の大会が故郷の岐阜で行われることを誇りに思います」と、本大会への感謝を口にした近藤サトさん。特別記念講演では、私らしい生き方をテーマに、自身がグレイヘアと向き合った経緯、そして介護の現場で働く方へ「新しいステージを構築してほしい」と語り掛けてくれた。
考え方を少し変えるだけで新しいステージが見えてくる
20代後半から若白髪があったという近藤さん。当時はアナウンサーという職種上、見た目に関しても周りのお手本になるような女性像を意識し過ぎていたそうだ。
「白髪を隠さないと、自分の存在価値とか存在意義がなくなると思っていました。若さに対する過剰な賛美もあり、何のためらいもなく自分本来の姿を10年以上隠し続けていたんです。そんなとき東日本大震災が起き、家の防災用品に毛染め剤をセットしようとして気が付いたんです。自分のことしか考えていないと。見た目を気にしている自分に嫌気も差したし、老いることが恥ずかしいということを女性に対して押し付けているような風潮も感じたんです。40代になって、毛染め剤に入っている化学物質へのアレルギー反応が強くなってきたという理由もありましたが、若い自分の姿を見て安心していることに対し、これは人間として成長できないと思い、髪の毛を染めることをやめたんです」
また、こういった考えの下、自身の生き方に関しても大きな変化が生じてきたそうだ。
「今までは賢く生きるということを考えていましたが、賢く死ぬということを考えるようになりました。死ぬことを前提にして、生きているときに自分らしくいようと。そのためには、新しいステージを自分自身で構築していくことが大切。例えば、もう一回働くとか、何か学んで活動するとか。いろいろなステージを持てるような環境がこれから増えてくるし、増えなきゃいけないと思う。皆さんの考え方をちょっと変えるだけで、新しい自分のステージが見えてくる。自分がまだ知らない自分をちゃんと見ていただきたいです。そうすると自分の生き方や生きざまみたいなものが変わってきます」
最後に「今の生活に満足してはいけません」と語ってくれた。
「無意識のうちに、今の生活に満足して愛着を持ってしまっていると思うんです。でも、それこそが自分の殻を破ることを阻害している可能性があります。なので、自分の本当の心の声を聞いてみてあげてください。賢く死ぬためにはリスクをとっていかないといけない。何から始めようかっていうことを、ちょっと考えてみてください。今日からですよ」
撮影=磯﨑威志、山田芳朗/取材・文=石黒智樹、大川真由美、佐藤義徳、宮澤祐介
開催スケジュール
会場:長良川国際会議場・都ホテル岐阜長良川
11月29日(水)
全体会A会場(メインホール)
11:00 開会式典
12:00 基調報告
13:30 ウェルカムアトラクション
13:45 行政報告
14:15 特別記念講演(近藤サト氏)
15:25 ロボット・ICTシンポジウム
16:35 スペシャルトーク&ライブ(清水ミチコ氏)
全体会B会場(大会議室)
13:30 外国人介護人材プログラム
14:40 デイサービス・ディスカッション
16:05 施設職員の働き方や職場環境改善プログラム
11月30日(木)
特別プログラム会場・イベント会場
(大会議室・メインホール)
9:00 JS次世代ワールドカフェ
9:00 ケアニン2上映会
11:00 ケアニン ショートフィルム3上映会&トークショー
13:00 介護ICT導入ガイドラインとメーカー最新情報
15:00 施設対抗大喜利大会
16:10 プレゼント抽選会
分科会 実践研究発表・先駆的特別報告・特別講演会場
(都ホテル岐阜長良川)
第1分科会分散会①(認知症対応/医療・介護連携、看取り)
第1分科会分散会②(自立支援[リハビリテーション・機能支援・口腔、栄養])
第2分科会(経営)
第3分科会(人材確保・育成・定着)
第4分科会(在宅・デイ)
第5分科会(軽費老人ホーム・ケアハウス)
第6分科会(養護老人ホーム)
先駆的特別報告(計2題)
※特別講演は各分科会会場にて開催
両日同時開催 介護機器展、外国人介護人材相談ブース、物産・授産品ブース