最新情報

速報(JS-Weekly)

「通いの場」に介護予防効果と介護給付費抑制効果

#通いの場 #介護予防効果 #介護給付費抑制効果

▶3年間で100回以上参加した人は、非参加者よりも要介護認定のリスクが約7割減

 富山大学学術研究部医学系疫学・健康政策学講座の研究グループは6月27日、富山県後期高齢者医療広域連合との連携事業の結果、「通いの場」への参加頻度が高いほど、①要介護認定を受けにくいこと、②介護給付費の増加を抑制する効果があることを明らかにした。

 退職後の高齢者には、自宅にこもり運動不足になりやすい傾向が知られており、虚弱(フレイル)や要介護の原因になることが指摘されている。「通いの場」とは、地域住民が主体となって行う、地域住民が集う「場」のこと。たとえば富山県砺波市では「いきいき百歳体操」が盛んに行われており、高齢者の交流や体力づくりを通じて、認知症予防や介護予防になると期待されている。

 今回の調査では、「通いの場」の健康への影響を評価するために、砺波市の65歳以上高齢者で2019年時点で要介護認定を受けていない9,382人を対象として、2019年から2022年までの「通いの場」の参加回数と、3年間での要介護認定の有無や介護給付費等の変化を評価した。

 その結果、「通いの場」に参加したことのない人と比較して、3年間で「100回以上」参加した人の要介護認定に対する調整オッズ比は0.28 だった。これは、週1回程度参加することにより、要介護になるリスクが4分の1程度にまで低下することを意味している。また、参加したことのない人は3年間で介護給付費が9.1万円増加したのに対して、「100回以上」の人は3.6万円の増加にとどまった。

 今回の調査結果を受けて、研究グループは「通いの場」が要介護認定の減少や介護給付費の削減に寄与することを明らかにしたと考え、今後は講演活動や施策立案への協力等を通じて、調査結果の社会還元を行っていくとしている。

(参考資料:https://www.u-toyama.ac.jp/wp/wp-content/uploads/20250627.pdf