最新情報
有料老人ホームの実態と課題をヒアリング―厚労省検討会 第3回開催
#有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会
▶現場の声を踏まえた制度設計へ、全国有料老人ホーム協会などが意見提示
厚生労働省は5月19日、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(第3回)」を開催した。
この検討会は、高齢者の住まいの多様化とサービス提供の質の確保を背景に、有料老人ホームの適切な運営基準や制度の見直しを検討するために設置されたものである。
■第3回の構成:ヒアリング形式で現場の声を収集
今回は、有料老人ホーム運営法人や地方自治体関係者など、現場に近い立場からのヒアリングが中心となった。出席団体・構成員からは、運営の実情や課題、制度面での改善提案などが示された。
ヒアリング団体の一例:公益社団法人全国有料老人ホーム協会/福山市(広島県)/社会福祉法人や医療法人の運営者/各構成員(矢田氏、木本氏、北條氏、井上氏 ほか)
■主な論点:入居者の重度化と介護サービスの線引き
現場から寄せられた主な意見は以下の通り。
・入居者の要介護度が年々重度化しており、住宅系施設でも介護保険サービスだけでは対応しきれない現状がある。
・有料老人ホームが「生活施設」であることを前提としつつも、実質的に施設系介護に近い対応が求められている。
・介護サービスの外付け(訪問介護・訪問看護等)と、施設サービスの線引きが不明確であり、利用者や家族の誤解・トラブルにつながっている。
・契約内容や費用説明の不十分さに起因する苦情や裁判リスクも指摘された。
■自治体からの課題提起:指導監査の限界と体制不足
福山市からは、地方自治体の立場として以下の課題があげられた。
・現行制度では、指導監査の権限や実行体制が十分とはいえず、問題施設への対応が後手に回ることがある。
・指導人員の確保やノウハウの蓄積が困難であり、自治体間の支援体制構築や国によるガイドラインの明確化が必要。
次回以降の検討会では、これまでのヒアリングを踏まえ、制度的課題の整理と対応方針の検討が進められる見通しとなっている。検討内容は令和7年度中に一定の方向性が示される予定である。