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認知症GHの経営はおおむね横ばい―WAMが令和5年度の経営状況を分析

#独立行政法人福祉医療機構(WAM) #看取り体制 #ユニット数 #明暗 #赤字施設は依然3割超

 独立行政法人福祉医療機構(WAM)は5月9日、 令和5年度の認知症高齢者グループホーム(GH)の経営状況に関するリサーチレポートを公表した。対象は開設から1年以上経過したGH2,345施設で、WAMの融資先から提出された財務諸表等をもとに分析が行われた。

 

■全体傾向:利用率は減少も単価上昇で経営指標は横ばい

 令和5年度のGHの「サービス活動増減差額比率」は3.7%と前年から0.3ポイント上昇。赤字施設 の割合も35.6%から35.0%へ微減し、全体としては経営状況は「横ばい」と評価された。

 ただし、利用率は94.5%で前年より0.3ポイント低下。待機登録者数も減少しており、地域によっては利用者確保に課題があるとみられる。物価高騰の影響から、家賃・光熱費・食費などの利用者負担額はすべて増加。利用者単価は13,824円(+102円)となった。

 

■看取り体制整備の有無による差も明確に

 「看取り体制整備あり」の施設は、「体制整備なし」に比べ利用率(+1.1pt)、要介護度(+0.27)、利用者単価(+670円)がいずれも高く、加算取得による収益確保に成功している傾向がみられた。一方で「体制整備なし」の施設では人件費率が高く、収益性に劣る傾向が確認された。

 

■ユニット数と規模による違い

 施設の規模別分析では、ユニット数が多い施設ほど利用者単価(「3ユニット以上」が14,124円)および経常増減差額比率が高い傾向がみられた。特に3ユニット以上の施設では、加算(看取り・栄養管理・口腔衛生等)の算定率が高く、それが収益を押し上げていると考えられる。

 一方、小規模(1ユニット)施設では人件費率が高く、利用者10人あたりの従事者数が多いことがコスト増加の要因とみられる。

 

■赤字施設の特徴

 黒字施設と赤字施設を比較すると、赤字施設ではすべてのユニット数において利用率が低く、特 に3ユニット以上の施設では5.5ポイントもの差があった。さらに、赤字施設では1施設当たりの従事者数が多く、人件費率が高く収支を圧迫していた。

 

(参考資料)

 https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/250509_No001.pdf(リサーチレポート)

 https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/pr2504.pdf(プレスリリース)