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「第5回正副会長・委員長会議(拡大)」開催の報告
#第5回正副会長・委員長会議(拡大) #社会福祉法人の経営状況について
8月21日(水)「第5回正副会長・委員長会議(拡大)」が開催され、独立行政法人福祉医療機構の経営サポートセンター シニアリサーチャーである千葉正展氏より『社会福祉法人の経営状況について 〜社会福祉法人の経営環境の現状と今後の課題〜』と題して講演があった。以下、その概要。
『令和4年度における社会福祉法人の経営状況は、非常に厳しいものである。独立行政法人福祉医療機構の調査によれば、赤字法人の割合は35.7%に達し、過去最高を記録している。特に、介護保険事業を主力とする法人では、赤字率が46.7%に上り、経営基盤が大きく揺らいでいる状況である。
この経営悪化の背景には、物価の高騰やエネルギーコストの増加がある。調査では、約65%の施設が前年と比較して水道光熱費が20%以上増加しており、施設運営全体に深刻な影響を及ぼしている。
また、少子高齢化による労働力不足も顕著であり、人材確保が一層困難になっている。
このような厳しい環境において、社会福祉法人が持続可能な経営を実現するためには、地域との連携が不可欠である。地域における公益的取り組みは、法人の経営を安定させると同時に、人材確保にもつながる重要な戦略である。特に、地域社会との連携を強化することにより、若い職員が地域活動を通じて成長し、法人内での定着率が向上している。
実際、地域との連携が強化された法人では、新卒採用実績が他の法人に比べて高い傾向が見られる。介護保険事業において、地域との連携を記載した法人の新卒採用実績は73.1%に達しており、記載がない法人の58.1%を大きく上回っている。このデータは、地域に根ざした活動が人材確保に直結していることを示している。
さらに、令和6年度の介護報酬改定はプラス1.59%となった。しかし、この改定による経営改善効果がどの程度持続するかは依然として不透明である。施設整備や再生産に向けた財源確保も依然として課題であり、建築コストの上昇と補助率の減少に対応するための戦略が求められている。
社会福祉法人が地域に根ざし、持続可能な経営を行うためには、地域との連携と人材育成が必要不可欠である。数字が示す厳しい現実を直視しつつ、これらの取り組みを積極的に推進していくことが、法人の未来を切り開く鍵となるであろう。』
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