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高齢社会対策大綱、6年ぶりに見直しへ
#高齢社会対策大綱 #地域包括ケアシステム
政府の「高齢社会対策大綱」の見直しに向け、有識者検討会が8月5日に報告書をまとめた。報告書では、医療・介護の複合ニーズが高まる85歳以上の人口急増を見据え、地域包括ケアシステムの構築を一層進めるべきだと提言している。これを受け、政府は近く新たな大綱をまとめ、閣議決定する予定だ。現在の大綱は2018年に策定されており、6年ぶりの見直しとなる。
報告書では、フレイルや認知症などを含めた高齢者医療(老年医学)とプライマリ・ケアなどの地域医療について、医療関係者が学ぶ機会をさらに充実させるべきだとし、医師等の養成課程でも「より重点を置くべきだ」と強調した。また、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)への理解増進や啓発、医療現場から患者を地域の文化資本やコミュニティー資源へつなぐ「社会的処方」の取り組みも促進するとしている。
介護分野では、担い手の確保が急務であり、さらなる処遇改善や介護の仕事の魅力向上を図る取り組みを強化すべきだと求めた。介護ロボットの導入やICT化による業務効率化や負担軽減も要請された。また、介護人材と競合他産業の賃金差については、数値目標の設定に当たって全産業の賃金と比較するべきだと主張した。
防災・防犯対策も課題に挙げ、高齢期の特性に配慮した対策を強化する必要があるとした。医療・介護施設の事業継続計画(BCP)の策定促進も求められている。
さらに報告書では、高齢社会に関するあらゆる世代の理解の促進/健康づくり・介護予防/介護離職の解消/高齢期における身寄りのない人への支援充実/認知機能の変化に応じた交通安全対策/難聴など感覚器機能の低下への対応などの取り組みが求められている。
高齢社会対策は、高齢期の人を支えるだけでなく、持続可能な社会を築くための取り組みでもある。報告書では、「65歳以上を一律に捉えるのは現実的でない」とし、それぞれの状況に応じて「支える側」にも「支えられる側」にもなれる社会を目指すべきだとしている。全世代の人々が超高齢社会を構成する一員として希望を持てる未来を切り開いていくことが必要だとした。
報告書をまとめたのは、第8回「高齢社会対策大綱の策定のための検討会」(座長=柳川範之・東京大学大学院経済学研究科教授)で、2月以降、議論を進めていた。
(参考資料:https://www8.cao.go.jp/kourei/taikou-kentoukai/k_8/index.html)