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“介護新時代”現場革命による新たな価値の創出
第2回全国老人福祉施設大会・研究会議 JSフェスティバル in 岐阜 潜入レポート②
2024.01 老施協 MONTHLY
老施協の全国大会と研究会議を統合した「JSフェスティバル」が岐阜県で開催された。岐阜信長公おもてなし武将隊 響縁や漫才コンビ・流れ星☆が登場するなど、岐阜感にあふれるイベントとなった。
JS FESTIVAL in GIFU 2日目 11月30日(木)
各施設の研究や実践した取り組みを発表
実践研究発表・先駆的特別報告
全国の介護施設が独自に研究、現場で実践した取り組みを発表する分科会が行われた。各5〜8組の発表があり、それぞれに優秀賞と奨励賞が授与された。
第1分科会分散会①
認知症対応/医療・介護連携、看取り
優秀賞
特別養護老人ホーム 雪舟園
安達俊二
「ケンタッキーが食べたい!! ~食べることから生きる喜びを感じてもらう~」
好きな物を食べて自然に老いるという考えの下、看取り介護の食支援を実施。介護の質、入居者のQOL向上にも効果が
奨励賞1
特別養護老人ホーム 帯広至心寮
森田輝子
「声が聞きたくて ~生活から変える認知症ケア~」
利用者の生活を見つめ直すことで、大声や暴力などと排便に因果関係があることを確認。施設の認知症ケアに役立っている
奨励賞2
特別養護老人ホーム 富竹の里
内田亜由美
「百人いれば百通りの生き方・逝き方がある“あの匂い・あの味・あの笑顔” ~一生忘れない~」
嘱託医、家族、職員での合同看取り介護研修会を開催。意思疎通も図ることで、施設看取り介護に対しての理解が深まった
第1分科会分散会②
自立支援(リハビリテーション・機能支援・口腔、栄養)
優秀賞
特別養護老人ホーム 黒潮園
梅村麻里
「口腔ケアの実践と年間延べ入院者の減少」
食事ケアの一環で、歯科衛生士を常勤で配置。専門的な口腔ケアを実施したことで、入院日数・入院者数が3年で約半分に減少
奨励賞1
特別養護老人ホーム 長和園
石川俊
「睡眠の改善と危険予知強化 ~自立支援につなげた取り組みについて~」
「眠りSCAN eye」を活用し、利用者の気持ちを尊重したヒヤリハット対策を実施。生活スタイルを変えず、支援ができたと報告
奨励賞2
通所介護デイサービスセンター 木楽
湯ノ谷研志郎
「LIFEの実践と科学的介護の実現に向けて ~フィードバック票の分析からみる事業所の特色とケアの方向性~」
LIFE事業所のフィードバックの分析から利用者像を把握でき、ケアの方向性の再確認が可能に。今後の課題も認識できるように
第2分科会
特別養護老人ホームの経営力強化
優秀賞
特別養護老人ホーム 義明苑
落合春佳
「物価高における排泄コストの削減 ~職員の熱意とオムツ業者の熱意の二人三脚~」
排泄担当だけでなく、会議の場で意見を募ることで、強引なコスト削減だけでなく、共通理解を持って取り組むことに成功
奨励賞1
特別養護老人ホーム せとうち
杉山香織
「ビジネスで捉えた『介護離職』~企業を前方連携とした利用者獲得~」
人口減が見込まれる営業圏内で新規利用者を獲得するため、企業と連携することを模索。介護サービスの紹介などを展開した
奨励賞2
介護老人福祉施設・プライエム横尾
廣田真理
「入院をさせないケア ~私たち年間稼働率99%を達成しました~」
入居者の状態、既往歴の把握など、入院をさせない取り組みを実施。前年と比較し、入院人数・日数が約1/3に減少したという
第3分科会
介護人材確保・育成・定着の取り組み
優秀賞
特別養護老人ホーム あざみの里
西野梨江
「ノーリフトから始める辞めない職場づくり ~労働安全衛生に関わってきた12年~」
ケア現場では腰痛を抱えた職員が多く、ノーリフティングケアを実施。職員の意識も変わり、昨年の離職率も0%を達成
奨励賞1
特別養護老人ホーム 杏樹苑爽風館
野村明宏
「失敗しない介護ロボットの選定と定着 ~9つのステップを通して~」
介護ロボットの定着化のために準備期・導入前期・後期に分け、9つのステップを展開。チームワークの向上にもつながっている
奨励賞2
特別養護老人ホーム 静苑ホーム
鎌仲智人
「学生カフェ ~介護の魅力を伝える取り組み~」
介護の魅力を伝えるために学生向けの交流会を施設で開催。これまでに119人の学生が参加し、そのうち23人が自ホームへ就職
第4分科会
地域包括ケアを深化させる在宅サービスの実践と戦略
優秀賞
デイサービス うみのほしタブリエ
平岡千里
「地域とつながる『手しごとデイサービス』手芸×おしゃべり×おいしいお茶」
高齢者が長年親しんできた手芸を、生活リハビリとして導入。家族に言われて行くのではなく、自ら通うデイサービスとなった
奨励賞1
鷹栖町デイサービスセンター はぴねす
大河原和也
「シン・鷹栖フレイルゼロプロジェクト ~コロナ禍での介護予防の全記録~」
コロナ禍においても感染対策をしっかり行い、高齢者の運動プログラムを実施。フレイル予防において、一定の効果を示す
奨励賞2
デイサービスセンター 橘の丘
相原美保
「Team Update ~求められ続けるデイサービスであるために~」
職員が補完関係を超え、連携し合うことができるチームづくりをしたことにより、退職者が劇的に減少し、チャレンジも増えた
第5分科会
地域と高齢者を守り抜く軽費老人ホーム・ケアハウスの新たな挑戦
〜果たすべき役割の再認識と存在意義の確立〜
優秀賞
ケアハウス 青葉ハイツ
高橋佳世
「地域になじむ ~地域共生社会を目指して~」
利用者と職員が一緒に、地域住民と積極的に交流した結果、地域の一員として認められ、地域との情報共有や連携が深まっている
奨励賞1
ケアハウス 旭ヶ丘園
中村純也
「最高の誉め言葉『いってらっしゃい』~施設という捉え方からコミュニティづくりへ~」
施設をコミュニティーとして捉え、利用者や職員が主体的に関係性づくりを促進。イベントなどへの参加者が増え、職員も定着
奨励賞2
ケアハウス・在宅複合型施設 花紬
別府奈央
「多職種連携によるサービス向上と業務効率化 ~ケアハウスICT化を加速せよ!~」
コロナ禍の中、多職種連携と業務効率化、ICT化を断行。利用者へのサービス向上と業務改善、経営の黒字化を達成している
第6分科会
養護老人ホームとしての使命と令和な福祉への新たな挑戦
〜課題を抱えた低所得高齢者への支援事業体として選ばれるために〜
優秀賞
稚内市養護老人ホーム 富士見園
山内正人
「災害は“もしも”の話じゃない!! ~防災力強化の実践~」
より効果的な防災対策に向けて、災害図上訓練に取り組んだ結果、利用者、職員の意識が向上し、ソフト面、ハード面も強化
奨励賞1
養護老人ホーム 鳥取市なごみ苑
苗紅義
「精神障がい者への生活支援を通して ~根拠に基づき個々に合わせた介護ができるために~」
精神障害者の個々に合わせたケアを目指し、職員のスキルアップを実施。職員の理解、自信につながり、一定の成果を達成
奨励賞2
養護老人ホーム 聖ヨゼフ・ホーム
森本美幸
「食を通した共生社会の実現へ ~給食提供からはじめる福祉のかたち~」
利用者と併設幼稚園児が食を通して交わる「ハイブリッド型支援」に着手。両者の食に対する意識が向上し、共生が実現している
専門家による最新の研究発表
先駆的特別報告
1月30日午後からは、分科会の発表と併せて、大学教授、准教授による最新の研究が発表された
京都大学 国際高等教育院 准教授
金丸敏幸
「介護分野における専門用語の平易化に向けた語彙リストの構築」
介護分野の難しい専門用語を誰もが理解できる言葉へ変換
介護分野の専門用語を誰もが理解できる言葉へと言い換えるリストを構築。介護分野への理解の助けとなるだけでなく、今後増加が見込まれる外国人介護人材への日本語教育にも活用できる。
東海大学 健康学部健康マネジメント学科 教授
中野いずみ
「養護老人ホームの入所措置に伴う高齢者のリロケーションと緩和支援」
養護老人ホーム職員におけるリロケーション支援を調査
養護老人ホーム職員における入所措置に伴うリロケーション支援の意識と行動の実態を調査。結果、職員は利用者の変化に対応しようとしており、利用者にリロケーションダメージが見られる場合は、緩和すべく支援が求められる。
第一線で活躍する識者が現状を語る
特別講演
各分科会の発表の後は、識者が現在の施設で起こっている状況についてレクチャーする特別講演を実施。多くの参加者が耳を傾けていた。
第1分科会 分散会①
群馬大学 大学院保健学研究科
医学部保健学科 教授
伊東美緒
「認知症症状(BPSD)の悪化を回避するためのケア〜最期までの生活を見据えた多職種連携〜」
私たちの考えるニーズと患者さんのWantsの融合を
「認知症ケアで一番に理解しなければいけないのは感情記憶。症状が進行しても感情を伴う記憶は残るといわれているので、相手に嫌いと思われてしまってはいけない」と伊東氏。また、認知症の方のWants(要求)をどうかなえるかという視点が重要という。
「ケアプランは看護視点のニーズに基づいていますが、施設ではそのニーズだけでは生活できない。なので、私たちの考えるニーズと合わせて、本人のWantsをくみ取ることも重要。また、Wantsを繰り返すことで、自分のことを考えてくれていると記憶が定着していきます。ただ、われわれの負担が大きいものは続かないので、ちょっとした工夫でできるものじゃないとダメ」と助言を送っていた。
第1分科会 分散会②
公益財団法人 ダイヤ
高齢社会研究財団 研究部長
石橋智昭
「自立支援の取り組みに対するアウトカム評価」
要因を複眼で捉えることが科学的介護の第一歩に
「LIFEは介護の質を利用者の改善割合で評価するため、加算の根拠になるアウトカム評価は責任重大です」と石橋氏は語る。
続けて「評価に標準化された指標を用いて、対象者の2回以上のデータ取得、そして、これらを蓄積するデータベースが必要になってきます。一定の物差しで、誰が記録をつけても同じようにつけられるようにして、かつ一定の周期でためていく。これをしていけば、アウトカムは必ず出せる」と同氏。
石橋氏は最後にアウトカム評価への向き合い方を語ってくれた。
「アウトカム評価はインパクトが大きく、不当な利用者の選別につながる危険性もあるので慎重に算出すべきです。また、要因を複眼で捉えることが大切です」
第2分科会
株式会社川原経営総合センター
経営コンサルティング部門 シニアマネージャー
成田勝
「健全経営の根源である利用率向上への取り組み」
収益確保の最優先課題は事業所の利用率の確保
厳しい経営の介護に対し、自施設の経営分析を成田氏は推奨。
「これからの経営は、単年度計画に具体的な行動計画があるか、後で検証・評価できるような目標設定がなされているかが重要になってきます。中長期、そして、その先にある経営理念などのビジョンを、スタッフの方と共有して取り組むことが重要です」と成田氏。
また、「経営分析シートなどを使い従業員に共有する際は、数字を羅列するだけでなく、表をグラフにするなど見やすくすることが大切」と具体例も提示。そして、収益確保の最優先課題は利用率の確保だという。「現在の利用者の方を入院などで減らさないためには、入院の原因トップ3を共有することも重要」と話した。
第3分科会
株式会社Blanket 取締役
野沢悠介
「介護事業者の採用活動を成功に導くための3つのポイント」
待つだけ、従来のやり方では介護人材の確保は難しい
野沢氏は「土台として働きたいと思える職場づくり、環境・条件の整備」が必要と前置きした上で、「ターゲットに向けて求人情報を届けるためのPR活動、自分たちの強みや特徴、魅力を正しく届けるためのブランディング、効果的な採用活動を行うためのターゲティングが大切」と、良い人材を効率的に採用するための3つのポイントを提示してくれた。
また、野沢氏は自分たちが採用したい人物像を明確にすることが大切だと言い「求職者は期待と不安を同時に感じている。期待していることをしっかりと訴求し、不安材料を減らしてあげることが重要。トライアンドエラーをしながら戦略的に採用活動をアップデートしていってほしい」とエール。
第4分科会
日本大学 文理学部 心理学科 教授
内藤佳津雄
「地域包括ケアにおける今後の訪問介護と通所介護」
訪問介護と通所介護は緊密に連携し複合化に
「訪問介護と通所介護は今後どのように進化していくのか」がテーマ。
訪問介護は人材不足でこのままだと壊滅するという予測が立てられ、通所介護はコロナ禍の影響を大きく受けて苦境が続いているというのが現状だという。
調査によると、訪問介護と通所介護を併用している利用者は、約5割にも上る。内藤氏は、「訪問介護と通所介護を緊密に連携した複合的なサービス」を提案している。
メリットとして、切れ目のないケアや課題の共有、通所キャンセル時の訪問フォロー、職員の共有が人材不足を補い、スキルアップにつながるなどを挙げている。
一方、課題として、通所介護人材に対する訪問介護研修の必要性、包括報酬の確保などを挙げた。
第5分科会
東京通信大学 人間福祉学部 人間福祉学科 教授/
増田社会保障研究所代表
増田雅暢
「地域共生社会の中での軽費老人ホーム・ケアハウスの役割」
地域のニーズに寄り添い ネットワークをより強化
増田氏は、「日本の高齢化社会における介護保険制度の課題として、地域共生社会の実現」を提案。
地域共生社会とは、子供、高齢者、障害者などを含めた全ての人々が、地域、暮らし、生きがいを共に創っていく社会であるということが定義されている。
その地域共生社会の中で、軽費老人ホーム(ケアハウス)を、貴重な社会資源としている。役割として、地域のニーズの把握、地方自治体や関係機関との意見交換や協力関係づくり、ネットワークの強化(専門職レベルと組織レベル)などを挙げている。
最後に増田氏は、軽費老人ホームに対して、その特徴を生かして、地域のさまざまなニーズに寄り添うといった対応を求めた。
第6分科会
琉球大学 人文社会学部
国際法政学科 教授
高田清恵
「措置制度と養護老人ホームをめぐる実態と課題 〜その法的根拠から現状と意義を考える〜」
旧態依然とした仕組みが残り 現状は十分機能していない
社会福祉の公的責任は、主として措置制度として具体化されているという。措置制度においては、都道府県市町村の養護老人ホームなどへの入所措置行為を着実にしながら、最低基準の制定義務と順守義務、国と地方自治体の措置費用負担義務がシステム化されており、公的な保育保証制度の枠組みとして重要な役割を果たしてきた。
しかし現在、高田氏は、「法的な観点で行政手続きの基本的なことが遅れており、措置制度の不適切、不適法な運用が表面化しにくいのも、当事者の法的地位の弱さ、権利性の欠如が要因」という。
また、「措置制度はセーフティーネットとして重要な役割を担うが、旧態依然とした仕組みが残り、十分機能していない」と説いた。
先駆的特別報告
公益財団法人 テクノエイド協会 企画部長
五島清国
「福祉用具・介護ロボットに関する最新情報と協会の取り組み」
事故やヒヤリハットに対し協会は事例提供で注意喚起
現在、日本の少子高齢化が急激に進んでいる状況下において、日本の優れた介護を維持すべく、ICT、ロボットを活用していこうという動きがある。一方で、利用者、介護者にとって安全安心な介護なのか、手間が増えるのではないか、利用者の体にどんな影響があるのかなどに留意しながら、働きやすい環境構築も進めていく必要があると、五島氏は問題提起。
事故やヒヤリハットの発生は、原因不明な場合も多々あるため、協会ではその事例を情報提供して注意喚起を促しているという。
五島氏は、「機器導入には、課題を明確にし、適切な機器の選定が必要であり、便利になる一方、事故などのリスクもあるため、管理者の配置が重要」と提唱した。
ケアニン ショートフィルム3 上映会&トークショー
女優 池田朱那×プロデューサー 山国秀幸
「ケアニン」シリーズの最新作「ケアニンShort Films season3 〜折り鶴の思い出〜」が、12月1日からYouTubeで無料公開中だ。本大会では池田朱那さんと山国秀幸さんが登壇。同作、そして介護職に対する思いを語ってくれた。
誰もが共感できるような介護あるあるがいっぱい!
「何度見ても感動しちゃいます」と、笑顔を見せてくれた池田さん。第3弾となる今作は、介護職員と利用者だけではなく、その家族に対しての愛情も詰まった作品に仕上がっているという。
池田「主役の平石未来を演じさせていただき、改めてこの作品に参加できてうれしかったです。シーズン1では新人介護職員だった未来ですが、利用者さんに合わせた声のボリュームやしゃべるスピード、目線など、シーズン3では彼女の成長という点を一番意識しました。今回は認知症をテーマに、利用者の家族にもスポットライトを当てているので、絆やつながりなど大事なことはちゃんと覚えている。そこを見てほしいですね」
山国「映画の中の未来の成長であり、池田さん自身の成長が僕自身も感じられました。3年前に会ったときから、明らかに成長されているのがうれしかった。制作するにあたっては過度な演出をせず、あるあるを大切にしました。分かりやすく、誰もが共感できるような作品作りを心掛けました」
実際に、池田さんの祖母が介護施設に入居されたことも、今回の演技をする上で大きかったそうだ。
池田「お見舞いに行ったとき、施設の方が祖母のことを本当に愛して、大切にしてくれていることが伝わったんです。シーズン3で私が堂々と介護職員を演じることができたのは、このような現場を自分の目で見られたことが大きい。介護業界って計り知れない大変さがあると思いますが、皆さんの頑張りの先に、利用者の方の笑顔や幸せがある。そういったところを、この作品を通して一人でも多くの方に伝えていきたいです」
山国「僕は介護という仕事を通して、生き方を学びました。介護職員の方とお話をさせていただくと『人生を学んでいます』とおっしゃる方が多いんです。それはやっぱり、いろいろな人生の先輩方と接することで、その方の経験、どういうふうに生きるのか、そして死ぬのかを、自分の中で蓄積されていく。それが生き方を学ぶという言葉につながるのではないかと思います。それを優しさだけでやっているのではなくて、ちゃんと技術として裏付けされて従事されている。介護職の方って究極のプロフェッショナル。映画を通じて、それを伝えていきたいです」
見守り機器を中心に各メーカーの情報に触れる
全国老施協版介護ICT導入ガイドラインとメーカー最新情報
〜自施設に最適な機器を選定するために〜
介護ICT導入のモデル事業で得られた知見とともに、各メーカー担当者による介護機器の導入効果を紹介する
株式会社日本総合研究所 部長
紀伊信之
パラマウントベッド株式会社 執行役員 経営企画本部
デジタル事業開発部 部長
伊藤秀明
パナソニックホールディングス株式会社 総括担当
山岡勝
エコナビスタ株式会社
伊藤智一
ジーコム株式会社 執行役員 営業本部長
小菅猛志
各メーカーの特徴を学び 施設に合った機器選びを!
メーカー4社が集結。パラマウントベッドの「眠りSCAN」「眠りCONNECT」、パナソニックの「ライフレンズ」、エコナビスタの「ライフリズムナビ+Dr.」、ジーコムの「ココヘルパX」を取り上げ、導入前後の変化などを紹介した。
JS次世代ワールドカフェ&エンディング
さらなる課題や新たな発見を見つけられた価値ある2日間
複数の課題・テーマごとに自由討論を実施
JS次世代ワールドカフェ
さまざまな出会いとアイデアを得る機会に
令和5年4月、21世紀委員会から改称し、次世代リーダーを育成するためさまざまなチャレンジを続ける「JS次世代委員会」が主催。会場には、委員が持ち寄ったご当地銘菓を用意。カフェのようにリラックスした中で自由に対話を重ねるワールドカフェ方式を採用し、話し合う力を養うとともに横のつながりを強めるのが狙いだ。
開会式では全国老施協の小泉副会長があいさつ。「何か一つでもつかんでほしい」と参加者に期待を寄せ、JS次世代委員会の原本委員長が趣旨を説明。「県の垣根を越えた仲間を見つけてほしい」と呼び掛け、積極的な交流を推奨した。
ディスカッションが始まると、1テーブルに5、6名が集まり、テーマに沿った意見を発言。各テーブルのファシリテーターが司会進行を務め、全員が前向きに語り合える空気をつくり出す。近年増加傾向にあるグローバルスタッフに活躍してもらうためにはどうしたらいいのか、YoutubeやTikTokなどを活用して人材の確保に成功しているなど、今の時代ならではの意見が多く出たのも、若手中心のJS次世代委員会らしいポイントではないだろうか。あるテーブルでは全員が立ち上がり、またあるテーブルでは思わぬ方向に話が展開。参加者が生き生きと意見を述べているのが印象的だった。さらに、各テーブルのアイデアを発表することで、参加者全員が意見を共有。プログラム終了後も会場は終日開放された。
お笑いコンビ「流れ星☆」による大会最後の締めくくり
施設対抗大喜利大会&プレゼント抽選会
大会の最後を締めくくる来場者参加企画は大盛況!
司会に岐阜県出身のお笑いコンビ「流れ星☆」を迎えて開催された「施設対抗大喜利大会」。流れ星☆による漫才を楽しんでから大喜利がスタート。全国から4施設、「地域密着型特別養護老人ホーム ささづ苑かすが」(富山県)、「軽費老人ホーム 小岱荘」(熊本県)、「社会福祉法人 蓬愛会 特別養護老人ホーム 美渉」(栃木県)、「特別養護老人ホーム 神明園」(東京都)が、おそろいの施設ユニホームや法被、コスプレ姿で参加した。介護にまつわるお題に対し、各チーム介護職員ならではの回答を連発。これには流れ星☆の2人も思わず爆笑し、回答したチームは高得点を獲得。会場は大盛り上がりとなった。
また、大会の最後を飾る「プレゼント抽選会」では、岐阜県の名産品である「飛騨牛 A5等級 サーロインステーキ」や「都ホテルズ&リゾーツ利用券30000円分」「日本三名泉・下呂温泉 水明館ペア宿泊券」の豪華賞品を用意。流れ星☆が抽選箱から当選者を引き当てるたびに会場からは歓声が上がり、壇上で目録を手渡され記念撮影。喜びと笑顔にあふれたまま本イベントは終了した。
profile●ながれぼし=一発ギャグが得意なボケのちゅうえいとツッコミのたきうえによる2000年結成のお笑いコンビ。2人とも岐阜県出身で、飛騨・美濃観光大使に就任
一般社団法人 岐阜県老人福祉施設協議会 会長 若山宏 氏の総括
「JSフェスティバル in 岐阜」を終えて
初日のお迎えから締めくくりのプレゼント抽選会まで、「とにかく岐阜らしさを出せたことに尽きる」と若山氏。多彩なプログラムで構成された怒濤の2日間を振り返れば、学びもお楽しみもぎっしりと詰まっていた。
profile●わかやま・ひろし=一般社団法人 岐阜県老人福祉施設協議会会長、社会福祉法人 杉和会理事長
大会を盛り上げてくれたスタッフや登壇者に感謝
まずは全体を通して、第1回の栃木大会のときも感じましたが、各分科会の質が本当に上がってきたと実感しています。これは災い転じてと申しますか、コロナ禍で一生懸命に取り組むことができた成果だと理解しています。
また、岐阜大会の運営に関しては、岐阜県老施協にいただいた冒頭の15分で、役員の一致団結を生むことができたのではないかと思います。来てくださった1500名近くの方に「岐阜に来て良かった」と思っていただけるよう力を尽くすのだ、とスタッフ皆に伝わったことは、振り返ってみて良かった点だったと思います。2日間、本当によく頑張ってくれました。
前回大会同様、会場内の救護室はどなたもご利用がなく、無事に大会を終えることができました。救護室の運営を会員施設の看護師さんにお願いすることも考えましたが、存分に大会に参加していただきたいので、今回は看護協会にご協力をいただきました。
私が中心になってやるとなると、イベントごとを期待される方も多かったようです。12月18日の全国老施協総会では、全国の役員の方にお礼かたがたいろいろな話をさせていただきましたが、「思い切り岐阜らしさ、若山さんらしさが出ていた」とお褒めの言葉をいただきました。大会当日の様子からも、「満足していただけた」というのは一番に思ったことです。
特別記念講演に登壇してくださった近藤サトさん、大会を盛り上げてくださった清水ミチコさんや流れ星☆さんにも感謝申し上げます。岐阜県出身の著名人の方々にご登場いただき、岐阜らしさを演出できたと思っています。
プログラムは、栃木大会の流れをくみながら大会・フォーラム委員会が中心となって企画を練りました。初の女性会長である大山会長が象徴するように、これからは女性の時代。そもそも介護職員は女性が多いのに、役員になると少ないのはなぜか。また、ロボット・ICTについてもやらない手はない。骨伝導技術で話したことがそのまま文字化されるシステムを視察するため、ロボット・ICT推進委員会の岩井委員長のところへお邪魔したところ、記録に費やす時間は半分になり、利用者さまと過ごす時間は倍になったとお聞きしました。外国人人材が増えてきた今、正確に記録できる状況を作れることはありがたいことです。これらは一例ですが、今何を話題にしなければならないのかということを、岐阜大会で明確に発信できたと自負しております。
会場については、長良川が見えて、岐阜城が見えて、というロケーションは非常に良かったと思っています。都ホテルとつながっていて、各分科会の開催もスムーズでした。ただ、建物の構造が複雑だったため参加者の方が少し戸惑われた部分もあったようで、そこは申し訳なく思っています。
次回への改善点としては、全国老施協事務局のスタッフがパッと見て分かるといいのではないでしょうか。今回、岐阜のスタッフは緑色のジャンパーを着用しましたが、全国老施協事務局にも色違いのジャンパーがあると、声を掛けやすかったと思います。名札だとすぐには見分けがつきませんから。さらに事務局と県のスタッフが集まってあいさつする機会を設ければ、連携もよりスムーズになると思います。次回は滋賀県で開催されます。これまでの課題を踏襲するのか、新たなものに挑戦するのか、非常に楽しみです。
撮影=磯﨑威志、山田芳朗/取材・文=石黒智樹、大川真由美、佐藤義徳、宮澤祐介