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速報(JS-Weekly)

〈厚生労働省〉

第235回介護給付費分科会、令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(案)が示される

JS-Weekly No.907

#介護報酬改定 #審議報告案

 厚生労働省は12月11日、「第235回社会保障審議会介護給付費分科会」を開催した。

 今回は、令和6年度介護報酬改定に向けてのこれまでの審議の報告案が事務局から示され、いくつかの論点について審議会としての結論を得るための議論が行われた。

 本日、厚生労働省より示された報告案、および論点は以下の通り。

Ⅰ.令和6年度介護報酬改定に係る基本的な考え方
  1. 総論
  2. 改定にあたっての基本的認識
  3. 今回の介護報酬改定に受けた基本的な視点
Ⅱ.令和6年度介護報酬改定の対応
  1. 地域包括ケアシステムの深化・推進
  2. 自立支援・重度化防止に向けた対応
  3. 良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり
  4. 制度の安定性・持続可能性の確保
  5. その他

 なお、本会から委員として出席した古谷参与は以下の意見を述べた。

1.地域包括ケアシステムの深化・推進

(豪雪地帯において急な天候悪化があった場合の通所介護費等の所要時間の取扱い)
 豪雪地帯等において急な気象状況の悪化等があった場合の通所介護費等の所要時間の取扱いの明確化について、近年予期せぬ積雪、豪雨等が日本各地で起こっている事を踏まえ、「豪雪地帯等において」を削除し、「突発的な気候変動等において」と修正することで対象地域を限定しないようにすべき。

(協力医療機関との連携体制の構築【介護老人福祉施設】)
 経過措置期間が「一定期間」から「義務付けにかかる期限を3年間」とし、併せて「連携体制に係る実態把握及び必要な対応を検討する」とされたことについては評価し、賛成するが、 実施に当たっていつくか懸念点がある。

 今回の義務化によって、介護老人福祉施設は、新たに協力医療機関として要件を満たす医療機関を、場合によっては複数定めなければならないこととなる。
 すべての施設が自力で要件に合致する医療機関を探し、交渉し、承諾を得るということを短期間で行うことは厳しいと言わざるを得ず、過疎地などの医療資源が少ない地域ではなおさらだ。
 また、「定める」といっても、協定なのか、契約なのか、手続きに関する決まりがない中で、相応の対価を求められる可能性もあり、有償契約でないと成約できないとすれば、6割を超える特養が赤字経営の中、実現は一層難しい。
 当会としても連携が円滑に進むよう取り組んでいきたいが、行政や関係機関からの支援と協力がなければ実現は難しく、多くの特養が義務違反となるおそれがある。

 コロナの五類移行のときは、行政が積極的に関与して病院とのマッチングまで行い、医療機関へ支払う費用は当然無償であった。その結果、9割を超える施設との協定が実現した。
 このときのような行政の関与と医師会の協力、そして全国的に無償に抑えられるのでなければ、いまの特養の平均的な経営体力では厳しく、行政及び関係機関各位の支援と協力が不可欠だ。

 ぜひとも今回提示案のとおり3年間の経過措置を設けていただくとともに、併せて、経過措置期間中に実態調査を行っていただき、調査で明らかになった阻害要因を解消するための対応を検討していただきたい。

(通所介護・地域密着型通所介護における認知症加算の見直し)
 認知症加算の見直しにおいて、「利用者に占める認知症の方の割合に係る要件を緩和する」こととあわせて、研修終了者の配置要件も「事業所に1名以上」として、緩和するべきと考える。

2.自立支援・重度化防止に向けた対応

(入浴介助加算の見直し)
 入浴介助加算の見直しで、新たな算定要件で、入浴介助に関する研修等を受講することとなっているが、内部の研修でも可能であることを明確にするため、「研修等を受講する」ではなく、「研修等を行う」にすべきと考える。
 また、研修等を新たな算定要件として設けるのであれば、現行の報酬単位の見直しもお願いする。

3.良質なサービスの効率的な提供に向けた働きやすい職場づくり

(介護職員の処遇改善)
 介護職員等処遇改善加算については、おおむね私たちの意向をお汲み取りいただき一本化の実施を具体化していただき感謝する。もう1点要望すると、計画書および報告書の作成には大変な労力がかかる。当該加算をどのように処遇改善に充てる・充てたかを記載するような計画書・報告書にしていただき、事務の簡素化も含めて様式の作成をお願いする。

(介護ロボット・ICT等のテクノロジーの活用促進)
 機器の運用に関しても、規模及び施設類型形態を考慮して、柔軟な運用を図れるようにすべきだ。

5.その他

(基準費用額(居住費)の見直し)
 居住費のみが対象となっているが、足下の食材費も高騰しているため、現状を反映できる必要な対応を検討していただきたい。

 なお、令和6年度介護報酬改定に関する審議報告(案)については、本日の意見を踏まえた検討が行われ、次回「社会保障審議会第236回介護給付費分科会」において取りまとめられる予定。

参考資料