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〈厚生労働省〉
介護事業経営実態調査、令和4年度収支差率は平均2.4%
JS-Weekly No.904
#介護事業経営実態調査 #介護保険施設
施設サービスのうち特養と老健は初の赤字。人件費や光熱水費の高騰が要因か
厚生労働省は11月10日、社会保障審議会・介護給付費分科会の介護事業経営調査委員会(委員長:田辺国昭国立社会保障・人口問題研究所所長)を開催。5月に実施した「令和5年度介護事業経営実態調査」(調査対象数は3万3177施設・事業所、有効回答率は48.3%)を公表し、結果を了承した。
出席した委員からは、他のサービスに比べて施設サービス(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院)の収支悪化が目立ち、介護保険施設の経営環境が非常に厳しいという指摘が相次いだ。
同調査によると、令和4年度の全てのサービスの税引き前収支差率は平均2.4%(新型コロナウイルス感染症などの補助金を除く)で、令和3年度と比較すると0.4ポイント悪化した。施設サービスを見ると、介護老人福祉施設(特養)はマイナス1.0%、介護老人保健施設(老健)はマイナス1.1%で、調査を開始した平成13年以降で初めて赤字となった。介護医療院は0.4%の黒字だが、収支差率は前年度よりも4.8ポイント低下した。
こうした状況について、厚労省は「人件費や光熱水費の高騰が要因」と説明した。松本庄平委員(独立行政法人福祉医療機構 経営サポートセンター リサーチグループ グループリーダー)も「新型コロナの補助金などを加味して特養の収支差率がようやくプラス(0.1%)になった。あまりにも低い数字ではないか」と指摘した。
収支差率が最も高かったのは、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の11.0%(前年度比2.9ポイント増)で、次いで夜間対応型訪問介護の9.9%(同6.1ポイント増)、訪問リハビリテーションの9.1%(同9.5ポイント増)などとなっている。
厚労省は、これらの結果を令和6年度介護報酬改定に向けた基礎資料とする見通し。