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速報(JS-Weekly)

〈東京商工リサーチ〉

「介護離職」発生企業の5割超で、介護支援制度が利用されず

JS-Weekly No.902

#介護離職 #介護休業 #介護休暇

介護離職した従業員がいる企業では、従業員の54.5%が介護休業等を利用せず退職

 東京商工リサーチは10月25日、「介護離職に関するアンケート調査」のリポートを公表した。アンケートは、全国の企業を対象に実施。5125社から回答を得た。

 それによると、令和5年8月までの1年間に、家族などの介護が原因で仕事を辞める「介護離職」をした従業者がいた企業は10.1%で、このうち正社員が65.3%を占めた。

 また、介護離職が発生した企業に、介護休業と介護休暇のいずれかの制度が利用されたかを尋ねたところ、「(利用した従業員が)いない」と答えた企業が54.5%と、全体の半数以上に上った。規模別でみると、「いない」とした大企業が36.8%に対し、中小企業では58.2%だった。

「仕事」と「介護」の両立支援への取り組み、十分と思わない企業が約4割

 仕事と介護の両立支援に向けた取り組みでは、「就業規則や介護休業、休暇利用をマニュアルなどで明文化」している企業は50.2%。一方で、「取り組みや整備した制度はない」企業も25.2%で両者の差が明確になった。

 さらに仕事と介護の両立支援の取り組みが十分だと思うか尋ねたところ、「そう思う」は18.4%と約2割にとどまり、「そう思わない」が38%と約4割が両立支援への取り組みが不十分とした。

 また、「そう思わない」とした企業にその理由を尋ねたところ、多い順に、「代替要員を確保しにくい」が62.4%、「自社に前例が少ない」が51.9%、「介護休業制度が社員に浸透していない」が31.1%となったほか、「介護にかかわらず、休暇が取りにくい」との回答も15.6%だった。

 こうした結果から、東京商工リサーチでは、介護休業や介護休暇の制度の認知度の低さや企業での周知徹底の遅れ、休暇が取りにくいなど介護休業等への意識改革の遅れの可能性などを指摘。今後、介護離職は増えると予想され、企業にとっても介護離職は痛手であることから、制度の周知を徹底するなど早急な取り組みが必要だとしている。

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