最新制度解説

速報(JS-Weekly)

〈全国老施協〉

第1回制度政策検討会議 財務省の誤った認識に対する反論と次期介護報酬改定への要望について討議

JS-Weekly No.888

#財務省の認識に反論 #介護報酬改定への要望

財政審および財務省予算執行調査の誤った認識に対して、全国老施協としてしっかりと反論を示す——大山知子会長

 全国老施協は7月24日、令和5年度第1回制度政策検討会議をオンライン併用で開催した。まず論じられたのは、「財政審・令和5年春の建議及び財務省令和5年度予算執行調査の結果に対する反論」について。当初、8月の社会保障審議会介護給付費分科会で他の予算要望とともに本会委員が発言するべく準備を進めていたが、7月中旬にテレビ番組を含む複数のマスコミで予算執行調査の結果が報じられたことを受け、全国老施協としての主張を速やかに公表すべきとの判断となった。ホームページで声明を公表するほか、JS-Weekly号外に詳しく掲載、マスコミへの周知も積極的に行っていく。

 断じて反論すべき誤った認識とは、次の点についてである。

【財政審・令和5年春の建議 資料Ⅳ-3-4】

主に介護事業を運営する社会福祉法人においては、平均費用の6か月分前後の現預金・積立金等を保有しており、直近まで毎年、現預金・積立金等の額も増加している。

【財務省・令和5年度予算執行調査の結果】

年間費用の3~6月分の現預金・積立金等を保有している法人で職員1人当たり給与が最大となっている。他方、3~6月分以降は、現預金・積立金等の水準が高くなっても職員1人当たり給与はほぼ横ばいとなっている。このため、一部の法人において、現預金・積立金等が積み上がっているにもかかわらず、職員の給与に還元されていない可能性がある。

 全国老施協は、次の4つを反論のポイントとする。

  1. 費用の6か月分前後の現預金・積立金等は、社会福祉法に基づき保有が認められる事業継続に必要な範囲内であり、高水準と評価される程度ではないこと。
  2. 財政審の定義は、B/S上の「現預金」、「積立金」、「有価証券」を単純に合計したものにすぎず、負債を考慮していないこと。
  3. 2020年度から現預金・積立金等が増えているのは、WAM等のコロナ感染症特別融資を活用し、将来の資金需要に備えて手元資金を厚くしたことによる可能性があること(下表)。また、コロナ感染症の蔓延で将来見通しが不透明な中、新築・増改築・修繕などの整備計画を中止または延期したり、建設費の高騰で延期せざるを得なかったことによる可能性があること。
  4. 予算執行調査結果は、主に介護事業を運営する社会福祉法人にあたかも余裕財産が増えており、それを職員給与に還元していないかのような印象を与え、国民に誤解を与えるものであり、遺憾であること。

令和6年度介護報酬改定に向けた要望について

 次に論じられたのは、令和6年度介護報酬改定に向けた要望案についてである。事前に各県老施協役員に対して行ったアンケート結果などを基に作成した要望案について意見が交わされた。全国老施協では、総論と各論の2段階での要望書提出を予定している。社会保障審議会介護給付費分科会の大まかなスケジュールは、6月から8月を第1ラウンド(総論)とし、9月に団体ヒアリング、10月から12月に第2ラウンド(具体的な方向性)、年末に審議報告、年始に介護報酬改定案諮問・答申となっている。まずは8月の介護給付費分科会をにらみ、総論を取りまとめる。その後、第2ラウンド開始までに各論をまとめる予定。

 全国老施協では、要望書提出のほか、厚生労働省等行政の関係会議等 (関係審議会や制度運用に係る調査研究会、令和5年度老人保健健康増進等事業等)をはじめ、関係団体の会議等、議連やマスコミへの働き掛けなどを行い、要請活動を展開していく。

参考資料