こころとからだ
Vol.10 冷え対策
寒さが身にしみる季節になりました。
この時期に多いのが、手足やお腹の「冷え」による体調不良。靴下や手袋、腹巻などで外側から温めるだけではなく、体の内側から熱を作る「温活」を取り入れて、快適な冬を過ごしましょう。
冷え症は「血行不良による手足などの末梢の冷え」と「胃腸や子宮など内臓の冷え」の2つに大きく分けられます。総じて、やせ型で貧血気味の人や女性は冷えやすく、筋肉質でがっちり型の男性にはあまり見られないのも特徴のひとつです。また、冬でも冷たい飲食物を好む人は内臓が冷えやすく、東洋医学的には子宮の冷えは子宮筋腫や子宮内膜症の要因にもなるので注意が必要です。
冷えがもたらす症状には、いくつか種類があり ます。高齢者や大病後、術後、産後などで免疫力が低下している人は体内で熱が作りにくい状態になっていることから倦怠感や無気力感、下痢などの不調が見られます。体内の水はけが悪く顔や手足がむくみやすい人は、内臓の冷えから頭痛やめまい、下痢などに見舞われることが多いでしょう。また女性に多いのは血の巡りの悪さから起こる末梢の冷えで、生理痛や下腹部の痛みがひどくなる、貧血、便秘といった症状が起こりやすくなります。
こうした冷えによる不調を予防するためには、日頃から手足やお腹まわりを「温める」工夫が必要です。
特に手足が冷える人は冷たい飲食物を避け、末梢神経を温めてくれるにんにくやネギ、生姜、こしょうなどをふんだんに使用した食事や、生姜湯などの摂取を心がけ、手足を動かす運動をこまめに行うのが効果的です。また足の冷えには「湧泉」、手の冷えには「労宮」というツボを押すのもよいでしょう。
お腹が冷えて便秘や下痢などを起こしやすい人は、煮込み料理や鍋料理、内臓全体を温めてくれる根菜類などの摂取と同時に、腹巻やカイロでおへその下にある「関元」のツボを温めておくと効果的です。また休憩時間などに、腹式呼吸をしてお腹を動かしたり、足にある「三陰交」を軽くマッサージするのも冷え改善につながります。
冷えに効く漢方薬としては、便秘や頭痛を伴う女性の冷えには「桂枝茯苓丸」、やせ型で胃弱の人には「人参湯」、高齢者には「八味地黄丸」がおすすめです。
取材・文=和場まさみ