福祉施設SX
令和7年4月 加算算定状況調査の結果報告

全国老施協では、介護事業の経営支援と、介護保険制度の見直し・介護報酬改定に向けた課題整理を目的として、令和3年度から会員施設を対象に継続的に加算算定状況調査を実施しています。
本特集では、令和6年改定で見直された、施設と協力医療機関との連携体制構築の状況、生産性向上推進体制加算の2年間の算定状況の推移、さらに、令和3年改定で新設されたLIFEに関連した科学的介護推進体制加算の算定状況の推移、及び、デイサービスで注視する加算についてご紹介します。
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協力医療機関との連携体制構築(特養、地域密着型特養、特定施設)
特養など介護福祉施設は、①相談体制、②診療体制、③入院体制の3つの要件(以下、「3要件機能」という。)を満たす協力医療機関と連携体制を構築することが義務化されており、3年間の経過措置ののちに適用される。本調査では、特養及び地域密着型特養(合計2,103施設)のうち、「3要件機能全て連携済み」が1,721施設(81.8%)、「3要件機能のどれかは連携済み」が192施設(9.1%)、「3要件機能全て連携していない」が190施設(9.0%)であった。
また、「3要件機能全て連携済み」と回答した1,721施設の「協力医療機関連携加算1」の算定状況が915施設(53.2%)と約半数に留まっていることも明らかになった。

【本調査結果に係る留意点】 ●資料出所は特に記載がない場合は、全て全国老施協である ●本調査は、全国老施協会員施設のうち特養、地密特養、短期入所、通所、特定施設を対象とした10,026施設・事業所にWeb上で実施した ●調査期間は令和7年5月12日から同年5月30日まで。回答数は5,440施設、回答率は54.3%であった
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生産性向上推進体制加算(特養、地域密着型特養、短期入所、特定施設)
本加算は介護ロボットやICT等のテクノロジーの活用促進を評価するもので、特に加算Ⅱは生産性向上(業務効率化)の取組を広げるためのスタートラインとして、本会でも取得支援を進めている。加算Ⅱの算定率は、特養が22.1%から32.9%(10.8ポイント増)、地域密着型特養が20.3%から30.7%(10.4ポイント増)、短期入所が20.0%から29.0%(9.0ポイント増)、特定施設が18.6%から29.7%(11.1ポイント増)へ、それぞれ増加している。

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科学的介護推進体制加算
令和3年改定に新設された本加算の算定率は年々増加している。
各サービスのLIFE関連加算の算定状況は、次項の一覧表を参照されたい。

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入浴介助加算(デイサービス)
本加算は、令和6年改定で研修の実施が要件に加わるとともに(加算Ⅰ・Ⅱ)、介護職員が医師等に代わって自宅の状況を確認し、医師等が助言する場合でも算定可能となった(加算Ⅱ)。加算ⅠとⅡの算定率の合計を見ると継続して約98%の事業所が入浴介助加算を算定しているが、加算Ⅱの算定率が低調となっている。今後は「自宅でも安全に入浴できるようになりたい」というニーズの増加が見込まれるため、加算Ⅱの意義はさらに重要になると考えられる。




